白き極光編
第1章
サムライ・ニンジャ・バーサス・ニンジャ
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「…う…けほっ…げほっ…」
ずぶ濡れの身体でなんとか岸に上がったマッシュ。
水を吐き出して仰向けになると徐々に息も整い、落ち着きを取り戻した事でここまでの記憶が戻って来た。
集中砲火で撃退されてなおティナにちょっかいを掛けたオルトロスに怒り心頭のマッシュは、イカダから水中へ飛び込んだ。
そのタコ脚に噛み付いて顔面に何発もパンチを打ち込んだが、オルトロスも必死の抵抗。
大きく振りかぶった触手を横合いから脇腹へ打ち付けられ、勢い良く水上、そして空中へ放り出されたのだ。
兄達と違う支流に飲まれ、こうして流されて来た…というわけである。
「…兄貴達は無事にナルシェに辿り着いたのか…? …そしてここはどこだ!?」
上半身を起こして周囲を見回すと、なんの変哲も無い平原。
東にポツンと一軒家、南のだいぶ離れた場所からは喧騒…それも祭りなどのそれではない。
これは軍勢が動いている時のものだ。
そして西には…城だ。城が見える。
「そうか、ドマ城だ! となると南のこれは帝国軍か!」
ドマ王国はリターナーと結ぶ反帝国勢力では最強戦力を有する。
国力や兵力では帝国に劣るが、その差を覆しているのはサムライという精兵だ。
『必殺剣』と呼ばれる独自の剣術を修めたこのサムライ達は、生身で魔導アーマーを両断し、放たれた魔導レーザーもカタナで弾き返してしまうという。
戦力差故に徐々に押し込まれてはいるが、本国から離れた土地の為に帝国側も兵站に悩まされている。
「どうすっかな…」
双方共にリターナーと同盟を結んでいる以上、フィガロとドマもまた同盟関係と言える。
その同盟国が今まさに帝国の攻撃を受けているわけだが、マッシュは一刻も早くナルシェへ向かわなければならない。
「…とりあえずあそこの家でナルシェへの行き方を聞いてから考えるか」
とにかくまずは情報収集。
ドマ付近の戦況や帝国軍の展開状況など、知っておけばナルシェ行きに際しても役に立つだろう。
周りに集落なども無く、本当に家が1つあるだけ。
敷地に入ってみると、広くもない庭には井戸と生垣…そして。
「なぁ、そこのあんた、ちょっと聞きたい事があるんだが」
マッシュが声を掛けたのは、井戸の横で大きなドーベルマンにブラッシングをしている黒装束の男だった。
「…なんだ」
覆面の奥の冷たく青い瞳が、マッシュを見定めるように射貫く。
「ここからナルシェに行きたいんだが、良いルートを知らないか?」
「…ドマだな。ドマから船で海を西へ行くのが手っ取り早い」
以外にも彼はブラッシングの手を止め、世界地図を見せて指でルートをなぞってくれた。
「だが、南に帝国軍が広く陣を張り、ドマ城への攻
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