白き極光編
第1章
サムライ・ニンジャ・バーサス・ニンジャ
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げられた礫や砂利がカイエンの全身に裂傷を作るが、決して動じぬ。
全ての『気』を刀身、切っ先その1点にのみ込めねば、死は免れない。
「…空っ!!」
一太刀にして十字を描く。
するとどうした事か。
地面を裂きながら迫っていた衝撃波は、その斬撃の軌跡に触れた瞬間に180度反転し、ナイトメア自身へと向かったのだ。
「あり得ぬっ!!」
ナイトメアは狼狽した。
自身の全身全霊の一撃が、そのまま返されるなど。
しかし返って来た死を呼ぶ波は、彼に文字通りに現実を刻み付けたのだ。
馬の身体が八つ裂きになり、ナイトメアのニンジャアーマーを砕き、裂き、割った。
「グワーーーッッッ!!!」
手負いの左腕は斬り飛ばされる。
フルフェイスアーマーメンポが割れ、破片が目を抉った。
胴体のみが残り横倒しになった馬から転げ落ちた。
「ガフッ…バカな…我が奥義が…」
もはや彼には立ち上がる体力も気力も残っていない。
無論、カイエンも無傷では済まなかった。
放たれた衝撃波の余波だけで衣は切り裂かれ、甲冑にもヒビが入り、肌もあちこちに血が滲んでいる。
「…恐るべき技にござる」
見れば刀の刀身もヒビ割れ、刃こぼれしている。
「ナイトメア殿がやられた!」
「化け物だ! に、逃げろーっ!」
周囲に展開していた帝国兵は、ニンジャの全滅を受けて逃亡。
カイエンは痙攣するナイトメアへと歩み寄った。
逃げる兵達は、誰1人として彼を助け起こそうとはしなかったのだ。
部隊の指揮を執っていたとはいえ、所詮ニンジャは外様なのである。
「フ…フハハ…! アバッ…信じられぬ…されど現実…か………見事也、カイエン=サン」
ナイトメアは右腕だけで半身を起こすと、割れたメンポの穴からカイエンを睨む。
「…幽世に/彷徨い絶えし/ロスタイム」
ハイクを詠んだナイトメアは、砕けた斧刃を右手で掴み、己の腹部に突き立てそのまま切り裂いた。セプクだ。
カイエンは彼の行動を理解し、その首を刀で打って介錯した。
「…サヨナラ…!」
笑ったままの首が宙を舞い、身体諸共に爆発四散した。
「戦士の誇りを保って逝けたか、ナイトメア=サン」
音も無くカイエンの隣に立ったシルバーカラスは、彼と共に空を見上げた。
「シルバーカラス殿、ご助力感謝いたす」
「メシ代と風呂代だ、気にするな。…さっきの奥義、防いで正解だ。あれを通してりゃ城壁なんざ木っ端微塵だっただろうな」
シルバーカラスは振り返り、痛々しく裂けた地面を見下ろした。
その亀裂の最奥部は窺い知れぬほど深々と断ち切られている。
「(あいつザイバツニンジャつってたか
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