暁 〜小説投稿サイト〜
冥界の王
第一章
[1/2]

[1] 最後 [2]次話
                冥界の王
 ハーデスは冥界の主である、三大神の一柱としてその座にいる。
 彼はよく陰気で悪い神だと思われている、だが。
「またえらく整えたな」
「見事なものだ」
 彼の兄弟であるゼウスとポセイドンは冥界に来て声をあげた。
「死者達の園をもうけたか」
「前は森で」
「何かと考えているな」
「死んだ者達の為に」
「お主達と同じだ」 
 ハーデスは兄弟達に答えた。
「治めるべきものはな」
「しかとか」
「治めているか」
「そうだ、そうせねばだ」
 それこそというのだ。
「主としてだ」
「ならんな」
「それでは」
「だからだな」
「冥界を常に治めているな」
「そうだ、だからだ」
 それ故にというのだ。
「わしもだ」
「園や森をもうけ」
「他の場所もだな」
「そして他のこともな」
「何かとしていっているな」
「死んだ者達は冥界に入るとだ」
 そうなればというのだ。
「安らかにだ」
「暮らさねばならない」
「そうだな」
「次の生が来るまでの間な」
「それでだな」
「確かに治めているな」
「そうしているのだ」
 見れば他にもだった。
 確かな政を行い死んだ者は誰もが安らかかつ幸せに暮らせる様にした、そうしてその他のこともであった。
 彼は書を読み劇を愛してだった。
 宴も開いた、そこでは冥界の神々によく言った。
「いいか、今宵もだ」
「楽しむのですね」
「酒も料理も」
「そうするのだ」
 眠りの神ヒュプノスと死の神タナトスに告げた。
「よいな」
「いつも有り難うございます」
「宴を開いて頂いて」
「そしてこの様に振る舞って頂いて」
「有り難うございます」
「礼はいい、時には宴も必要だ」
 ハーデスは葡萄の美酒を飲みつつ話した。
「だからな」
「それで、ですか」
「開いて頂けますか」
「皆頑張っている」
 今度はその仕事ぶりを讃えた。
「その労いになればいいが」
「そのお気遣い感謝します」
「まことに」
「ではこれからも」
「務めに励みます」 
 眠りと死の神々以外にもだった。
 冥界の神々は感謝してそうしてだった。
 彼等の務めに励んだ、冥界は彼等の務めもあり無事に治められているが。
 ある日冥界の川であるアケローン川の渡し守であるカロンは死んだ者達と共に飲みながら彼等に話した。
「冥界は変わったぞ」
「そうなのですか」
「変わったのですか」
「昔と比べて」
「ああ、昔はもっとな」
 それこそというのだ。
「色々乱れていたんだ」
「そうだったのですか」
「この冥界も」
「そうだったのですか」
「何もないな」
 そういったというのだ。
「荒野でな」
「そうであってですか」
「それで
[1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ