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東方酔夢譚
第二章

[8]前話
「是非より一層です」
「日本を知ってもらいたいですね」
「その美術を」
「アメリカそして他の国にも」
「日本にも」
「そうですね、私は貴方を教えましたが」
 フェノロサは岡倉に彼自身とのことも話した。
「貴方に教わることもあり」
「逆にですか」
「そしてこうして共に飲み」
 そうしてというのだ。
「共に歩く」
「友ですね」
「そうでもあります、私は日本に来てその美しさを知り」
 そうしてというのだ。
「そのうえで貴方とも出会いました」
「弟子であり師匠であり友でもある」
「お互いにそうであり」
 そしてというのだ。
「絆を持つ。その貴方とも出会い」 
「そうしてですか」
「より一層深いものを感じています」
「そうなのですね」
「貴方は同志でもあります」
 フェノロサは岡倉にこうも言った。
「志を同じくして共に働く」
「日本美術の為にですね」
「そうです、そしてそれは」
「私もです」
 岡倉はフェノロサに自分の想いを隠さずに告げた。
「貴方と出会えてです」
「よかったですね」
「一生の宝です」
 そうだというのだ。
「私一人ではとても」
「ことを為すことは出来なかったですか」
「はい」  
 そうだというのだ。
「ですから」
「それ故に」
「貴方と出会えてよかったです、そしてこれからも」
「日本の美術の為に生きられますね」
「そうします、そこに貴方もいてくれて」
「私も同じ心なので」
 フェノロサは岡倉に答えた。
「これからもです」
「私と共に働いてくれますか」
「この生涯を賭けて」
「日本の美術の為に」
「この身と心を捧げます」
 そうするというのだ。
「これからも」
「そう言ってくれますか、では」
「働いていきましょう」
「二人で」
 笑顔で話してだった。
 二人で日本の酒を飲み料理を楽しんだ、そうしてだった。
 その中であらためて誓い合った、日本の美術を守り世界に知らしめようと。誓い合ったのであった。
 二人の日本美術への貢献は歴史に残っている、西洋美術一辺倒になっていた日本の美術を復興させたとも。若し二人が出会っていなければそうはならなかったかも知れない。そう考えると偉大な出会いであっと言えるであろう。


東方酔夢譚   完


                  2025・1・11
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