第一章
[2]次話
東方酔夢譚
岡倉覚三、試作などの号を天心という彼は廃仏毀釈運動の中で潰されようとしていた仏像達を必死に保護した、それと共に日本芸術の保護と紹介に努めていたアーネスト=フランシスコ=フェノロサと飲んでいた時に言った。東京の赤坂の料亭で飲んで懐石料理を食べている。
「貴方がいなければ私は何も出来なかった」
「そう言ってくれますか」
「はい」
日本語で箸を使って和食を食べ日本酒を飲んでいるフェノロサに答えた。
「私一人ではとても。あの頃の日本の芸術といえば」
「西洋が第一で」
「日本のそれまでの絵や像は劣ったものとされていました」
「そうです、ですが私は日本に来まして」
フェノロサは真面目な顔で答えた。
「日本の芸術をこの目で見まして」
「違うと思われましたね」
「実に素晴らしいものとです」
その様にというのだ。
「確信しました」
「その時に私は貴方と出会い貴方の弟子となりました」
「そして私の話を聞いてですね」
「はい」
そうしてとだ、岡倉は食べつつ答えた。
「まさにと思いました」
「そうしてですね」
「日本の芸術を守り世界に紹介しようと決意しました」
「誇りを以て」
「そうです、素晴らしいものですから」
日本の芸術はというのだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「今もその為に働いています」
「私もです、私は本来哲学等を学び教えていました」
フェノロサは前を向いて答えた。
「それが本来の仕事でしたが」
「日本に来られて日本の芸術と出会い」
「その素晴らしさに魅了され」
「認められ紹介される様になりましたね」
「西洋美術は素晴らしいです」
フェノロサは毅然として答えた。
「実に。ですが」
「それと共にですね」
「東洋美術、そして日本のそれもです」
「素晴らしいですね」
「そのことがわかり」
そうしてというのだ。
「広く伝え日本人にもです」
「知ってもらう様にしていますね」
「今では」
「日本とボストンを往復する生活ですが」
岡倉は今の自分の暮らしを語った、そうして二つの国で働いているのだ。
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