第三章
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「どうにも」
「すぐに出る者はいないな」
「そうは」
「考えてみると簡単に出来る」
「今の技術では」
「しかし夜に蝶は出ない」
このことを言うのだった。
「そのことで止まっていてだ」
「固定観念になっていると」
「とてもな」
それこそというのだ。
「わからないことだ」
「そういうことですね」
「柔軟に考えることだ」
「何でもですね」
「そうして考えていくとな」
「こうしてですね」
「夜に蝶達も見られる」
舞う彼等もというのだ。
「そういうことだ」
「左様ですね」
「そしてだ」
クリンソンはさらに言った。
「これからだが蝶達はどのみち温室に放つつもりだった」
「そうだったんですね」
「この部屋の中で飼育してな」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「そうだったんですね」
「だからこのままでいい、そして今日の仕事はもう終わっている」
既にというのだ。
「だから帰るが」
「我々は今日当直でもないですし」
「だからな」
それでというのだ。
「帰るか」
「それぞれのお家に」
「そうしよう、私は帰ったらな」
クリンソンは笑って話した。
「ビールにするが」
「僕はスマホのゲームを」
「そちらを楽しむか」
「そうですね、ですが」
それでもというのだ。
「帰るにはまだ早いんじゃないでしょうか」
「もっと見たいか」
「はい、蝶達を」
温室の中を舞う彼等をというのだ、草花の間を。
「そうしていいでしょうか」
「私もそう思う、ではな」
「あと少し見ましょう」
「夜に舞う蝶達をな」
クリンソンも笑顔で応えた、そうしてだった。
二人であと少し花々の中を舞う蝶達を見た、温室の外の夜の中を舞う彼等はこのうえなく幻想的だった。二人はその光景を満足するまで見てそのうえでそれぞれの場所に帰ったのだった。
蝶々の夜 完
2024・11・13
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