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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
動き出す世界
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シャはそう呟くと電話を手に取る。赤道連合もかなり大きくなった。つい先日参加表明してきた国の中には今求めているISもあるかもしれない。とことん調べてみるしか。

 そう彼女が思ったとき誰かがドアをノックしてきた。

「どうぞ」

「失礼します」

 ドアを開けて入ってきたのはセミロングの金髪に碧眼の少女だ。左目の下に泣き黒子があり、それをめだたせるように左横の髪を縛っている。少女はその場に直立不動になるとアイシャにむけて敬礼をする。
 
「クロエ・アシュクロフト。任務を終えて帰還しました」

「そう、お疲れ様。楽にしてくれて構わないわ」

「はあ、きつかった……」

 アイシャがそういった瞬間今まで直立不動だった少女、クロエが姿勢を崩す。元ニュージーランド代表候補にして、赤道連合発足当時からジャクソン社に所属しているクロエは赤道連合の中でも15歳と若いがかなりの古株に入る。新入の候補生は大抵クロエが指導するし、テストパイロットとしても優秀だ。『デザート・ウルフ』についての説明は彼女以上に知る人は少ないとさえ言われている。だからこそ、今回のような外国への交渉ごとにも付き添っていくだけの任務を任せることが出来る。

「状況は?」

「状況も何も……アイシャさんの予想通りですよ。簡単に言っちゃえば皆焦って加盟したものだからISの開発権まで渡したくないって……滅茶苦茶ですよねえ」

「まあ、嫌な想像ほど的中するものよね」

 先日の米国軍事IS暴走事件以来、赤道連合に加盟を表明する国が大幅に増加した。オセアニア州に属するほとんどの群島諸国、今まで参加を拒んでいたシンガポール、中国と国境を接していて様子見に徹していたラオス、カンボジア、ベトナムも参加を表明。加盟国が急速に増えたことによりISの運用も非常に広範囲に渡る様になってしまったのだ。
 そもそもトンガなどの群島諸国はISを1機しか保有しておらず、更に予算の都合上1国ではあるが未だに第1世代が現役と言う国さえある状態だ。特に今回参加表明をしたベトナムやシンガポールと言った国々は独自のIS開発が盛んであり、参加表明したとは言ってもそれが技術目的と言うことは誰の眼から見ても明白。その上中国と国境を接したことによって国際問題が増えることは火を見るより明らかである。
 更に水中用に開発していたパッケージ『ディープ・ブルー』がIS学園所属中とは言え世界にばれてしまったのは痛い。既に政府関連にはEU、アメリカ、中国などの主なIS保有国から抗議や非難が相次いでいる状態だ。当然こちらもやり返してはいるのだが、手札が全く同じでは声の大きい方が勝つのが道理。だからこそ今回の参加表明国の急速増加も本来見送るところなのだが、了承せざるを得なかった。

 それにも増してIS開発は一国で
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