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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
動き出す世界
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『ジョージ・ワシントンU』

 世界の警察を自負するアメリカは、ISでさえも一国で100機近くを保有した類を見ないIS大国である。そしてその影響は当然軍にも大きく影響している。特に既存の原子力空母『ジョージ・ワシントン』を改造した『ジョージ・ワシントンU』は内部に巨大な工房を備えさせることによりISの修理、補給を可能としており、世界初のIS搭載空母保有国としてその地位を更に磐石にさせつつある。
 常に3機のISがいつでも出撃できるように準備されており、当然配備されている機体も最新鋭の物が多い。
 空母内部にはIS操縦者のための船室が設けられており、一般護衛艦艦長と同等レベルの船室を与えられている。決して広いとは言えないが、船の中と考えればそれクラスの船室が10もあるのは世界広しと言えどもこの『ジョージ・ワシントンU』くらいであろう。

 その一室に、声が響く。規則的に入り口の真上から聞こえるそれに合わせて、下に敷かれたタオルに液体が滴り落ちる。
 
「ふ! ……ふ! ……」


 入り口の上の狭い部分に取り付けられたバーに足でぶら下がっている赤い短髪の少女……エリス・ジャクソンはシャツが捲くれ上がって下着が見えてしまうのも構わず腹筋を続ける。これは彼女の訓練ではなく日課だ。これをやらないと落ち着かないしどうせ誰も見ていない。

「エリスー? 入るぞー」

「あ」

 再び腹筋をしようとした途端、ノックと同時に空いた扉から見知った顔がいきなり目の前に現れた。そしてこの時点で普通相手は悲鳴を上げるはずだ。何せいきなり入り口の上から逆さまの状態の人がぶら下がっていれば誰でも驚く。しかしその扉を開けた少女は別段驚く様子も無く、またかという風にため息をついただけだった。

「さっさと降りろ」

「そう怒んないでよリーゼ」

「怒ってない。呆れてるだけだ」

 短い茶髪を右手で上げた少女、リーゼ・ノームがまたため息をつく。エリスはその場から曲芸のように一回転して床に着地すると敷いてあったタオルを片付けながら聞く。

「で? 今日は何の用?」

「ああ、IS操縦者は全員ブリーフィングルームに来いってさ」

「って言っても今は私と貴方とソフィアしかいないじゃない」

「だから私がお前を呼びに来たんだ! さっさと準備しろ!」

「んー、ああ。そう言えば外してたっけな」

 エリスの言葉にノームがまた深いため息をつく。世界広しと言えども、巡航中の空母の中で待機状態のISを体から外すアホはこいつくらいだろうという意味を込めて。いくら通信で呼びかけても返事が無いはずだ。
 エリスは思い出したようにベッドの上にある待機状態のIS、認識票を首から提げて軍服を身に着けようとする。

「せめてシャワー浴びろアホ
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