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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
動き出す世界
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笑いしてしまう。会談は非公認だと自分でも言っているのに軍服を着ている。会議室に入る前にわざわざ着替えたのだろう。ドイツはいつでもお堅いままだ、と言う呟きにも少し眉を動かしただけで反応しない。

「それもそうね。こっちのオルコット家の頭首もそうですから。それにしてもドイツ軍の『魔弾の射手』が来るとは思わなかったわ」

「私もイギリス王家の誇る『ブリュンヒルデ』が直々に出向いているとは思いませんでしたよ」

「特務大尉、ということは2つ上の中佐扱いということでよろしいのかしら?」

「はい。現在例の一件のせいでIS配備特殊部隊の指揮権を他に移すための一時的なものとお考えくださって結構です」

「シャルンホルスト特務大尉」

 2人の会話が止まる時を予期したかのようにパルティスが時計を指した。時間だ。

「分かっている。王女殿下、イタリアの代表はまだ来ていないのですか?」

「そうね。ジェーン」

「は」

 ジェーンはそう言うと端末でどこかに電話を掛ける。数回だけ言葉を交わした後にジェーンは再びヴィクトリアに言葉を返す。

「ロビー班からの報告では既にエレベータ−に乗ったそうです。後5分ほどで到着するかと」

「これだからイタリア人は。あいつらは時間にルーズで困る」

「まあまあ、急な召集だったし5分なら早いほうじゃない?」

「一秒の遅れが死に繋がることもある」

「アシュレイ少尉」

「は、出すぎた真似をいたしました」

 ヴィクトリアの言葉にムッとしたパルティスの呟き程度で出した声にロベルティーネが厳しい口調で注意した。軍のあり方はそれぞれだが、ドイツの軍律は他のものと比べても異常なまでに厳しい。上官同志の、それも他国のともなればその会話に下の階級のものが意見するなどあってはならない。それを見たヴィクトリアは苦笑いをするしかなく、ジェーンは怪訝そうな顔をしている。
 その時、会議室のドアが勢いよく開かれた。

「申し訳ない! 遅れちまった!」

「ジェルミ少佐! 言葉遣い言葉遣い!」

「ん? ああ、そうだったな。ありがとうユリア」

 勢いよく入ってきたのは黒髪を肩の上で切り揃えたジェルミと呼ばれた明るい成人女性と、ダークブルーの髪を肩のあたりまで伸ばしているメガネをかけたユリアと呼ばれた少女だ。ジェルミがその場で敬礼するのを見て、ユリアが慌てて敬礼をする。

「イタリア空軍所属、フィオナジェルミ少佐。只今到着いたしました!」

「い、イタリア代表候補のユリア・アーセナルです! よろしくお願いしましゅ!」

 フィオナのその敬礼が先ほどと違い、ものすごい様になっているのと、明らかにユリアが噛んだことでその場が一瞬だけ静寂に包まれた。

「ふふ、よろしくお
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