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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
動き出す世界
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半分辺りまで延びた綺麗なブラウン。申し訳程度にしか化粧をしていないが、それがまた彼女の清楚さを引き立たせている。
 その女性は座っている女性が持っていた空になったカップを静かに受け取ってそれを満たすと、直接手に渡すのが恐れ多いというふうに円卓の上に置いた。

「どうぞ」

「ありがと」

「いえ」

 座っている女性はそれを受け取ると一口だけ音を立てずに口にする。

「うん、いい味よジェーン。また腕を上げたわね」

 ジェーンと呼ばれた女性はその言葉に深々と礼をする。

「ありがとうございます。ウィンザー様」

「ヴィクトリアで良いって言ってるのに」

「しかし王家の方々を名前で呼ぶわけには……」

 座っている女性、ヴィクトリア・ウィンザーの言葉にジェーン・コールフィールドは困惑したように声を上げた。

「今いるのはイギリスじゃない。それで納得しないなら命令でもいいわ。何より私が嫌」

「はい、分かりました。ヴィクトリア……さん」

「よろしい」

 ジェーンの返答にヴィクトリアが微笑んだ時、会議室のドアが開いた。
 その瞬間に先の2人の表情は微笑が消えて外交向けの顔となる。
 入ってきたのはドイツ軍の黒い軍服に身を包んだ2人。先に歩いてくるのは長い紫紺色の髪をした女性で、黒い軍服が成熟した女性の身体をより目立たせて見える。
 その後ろにぴったり一歩分離れてついてきているのは小さな少女。紅蓮にも近い真っ赤な髪をツインテールにし、何よりもその可愛げな外見に合わない左目の眼帯と鋭い眼光を放つ右目が彼女の異様さを際立たせている。
 その2人は円卓の手前でピタリと息を合わせたように止まると直立不動になり、また2人同時に示し合わせたように敬礼をする。

「ドイツ陸軍特務大尉、ロベルティーネ・シャルンホルストです」

「同じくドイツ軍IS配備特殊部隊少尉、パルティス・アシュレイです」

 2人の敬礼に先にいた2人も敬礼をして言葉を返した。

「ご苦労様。私がイギリス王家第1王女、ヴィクトリア・ウィンザーよ」

「イギリス代表候補のジェーン・コールフィールドです。よろしく」

 双方が敬礼を終え、ヴィクトリアが席に再び座るとロベルティーネはヴィクトリアから一つ空けた右隣の席へと座り、パルティスはジェーンと同じようにその後ろに待機する。それを見てからヴィクトリアは意地悪げにロベルティーネに声を掛けた。

「ドイツは例の部隊の隊長さんが来ると思ったのだけど?」

「ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐は現在IS学園に所属している身です。正式な会談ならともかく今回のような非公認では。代わりと言ってはなんですが同部隊のアシュレイ少尉をお連れしました」

 その言葉にヴィクトリアは思わず苦
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