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下手な哲学書
第二章

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「読んだら?評判の哲学書探して」
「そうしてなの」
「読んでみたら?」
「それじゃあね」
 美利は聡子が止めなかったのでだ。
 とりあえず有名な哲学者とある大学の看板教授の本を読んでみることにした、だがそれでもだった。
 その本を読みはじめてすぐにだ、美利は言った。
「訳がわからないわ」
「読んでいて」
「ええ、全くね」 
 聡子にキャンバスの中で話した。
「わからないわ」
「そうなの」
「ええ、何を書いているのかね」 
 それがというのだ。
「わからないのよ」
「具体的にはどうなの?」
「いや、横文字ばかりの文章なの」
「そうなの」
「英語のね、ウェットとかドライとか変にね」
「使ってるの」
「何か文章が」
 それがというのだ。
「下手なのよ」
「哲学者の人の」
「有名な大学教授だっていうけれど」
 美利は憮然とした顔で話した。
「訳がわからないのよ」
「そうした文章なの」
「ドライに突き放してるとかウェットな日本人の考えとか」
「確かにわかりにくいわね」
「冷静にとか感傷的とか書かないで」
 そうではなくというのだ。
「変にね」
「横文字使うの」
「そしてね」
 美利はさらに話した。
「造語出すし」
「その人が造った言葉?」
「それを出してね」
 そうしてというのだ。
「余計によ」
「わからないの」
「そう、そして」
 そうであってというのだ。
「急にボヘミアン的とかともね」
「ボヘミアン?」
「そんな言葉も出るの」
「何それ」
「一切説明なく急に出たのよ」
「訳がわからないわね」
「いきなりそう言われてもね」
 本の中で出てもというのだ。
「わからないでしょ」
「確かにね」 
 聡子もそれはと返した。
「わからないわね」
「そんな言葉も出て」
 それでというのだ。
「尚更ね」
「わからないのね」
「もう一から全部ね」
「一から百じゃなくて」
「百どころかよ」 
 それこそというのだ。
「全部よ」
「わからないの」
「そうなの」
 これがというのだ。
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