九十七 復活
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血の涙を流して感情の一切を殺して里の為に父も母も友も仲間も同胞も、うちは一族全てを殺戮したうちはイタチ。
だが彼にはどうしても殺せなかったモノがいる。
里よりも重かったそれが、自分のことだとサスケはもう知っている。
兄にとって弟(自分)の命は里よりも重かった。
それを知れただけでもサスケにとっては僥倖だった。
いや、本当はもっと早く動くべきだった。イタチの真実を知れたあの時に。
だが兄本人からの願いにより先送りにしてしまった。
その結果、イタチが死んだという訃報を、うずまきナルトから聞かされたサスケは、目の前の忍びの闇を見る。
そうだ復讐だ。志村ダンゾウの次には、うずまきナルト。
だからこんなところで立ち止まっていられない。
しかしながら忍びの闇はやはり一筋縄ではいかなかった。
【自業呪縛の印】。
自らの身体を縛る呪印。対象者を動けなくさせるその印がサスケの身を蝕む。
動けぬ我が身に顔を顰めたサスケへ、ダンゾウは悠々とクナイを構えた。
「イタチに説教でもされてくるといい」
そう嘲笑するダンゾウの前で、サスケは双眸を閉ざす。観念したか、と油断したダンゾウは気づかなかった。
次に開眼したサスケのその眼から流れる血の涙を。
「【天照】」
黒い炎がダンゾウのクナイに絡みつく。咄嗟にクナイを手放したダンゾウの身を黒炎は更に追い駆ける。
その衝撃でダンゾウの支配から逃れたサスケは【自業呪縛の印】を振り払うと、己の得物である刀を振り被った。
が、黒炎と共に刀を防ごうとしたダンゾウの右腕が突如変化する。
「【天照】…久しぶりに見た。やはりイタチの弟だな」
いきなりダンゾウの腕から生えた巨大な大木。木の勢いに【天照】の黒炎が掻き消される。
そのままサスケを捕らえようとする木の枝を刀で断ち切って、サスケはダンゾウから距離を取った。
「────その右腕はどうした」
いくつもの【写輪眼】がついている右腕。
更に大木が生えているその右肩には人の顔のようなモノがついている。
そのおぞましく異形な腕を目の当たりにし、サスケは顔を顰めて問い質した。
「…色々あってな…話すと長い」
ダンゾウの素っ気ない返事に、サスケは「色々か…ふん」と鼻を鳴らす。
「どちらにせよ【写輪眼】は、うちは一族から奪ったに他ならないだろう」
言わずともわかる答えを言い当てたサスケにダンゾウは沈黙で返す。
それが正解なのは明白だった。
「…それにそれは…木遁、か?」
ダンゾウの右肩に浮かぶ人の顔。その相貌にサスケは見覚えがあった。
かつて故郷で嫌というほど見た顔だ。サスケの故郷である木ノ葉の里で。
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