九十七 復活
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が地面に転がった。
途端、その死体から桜の花びらが舞い上がる。
サクラだったソレが花びらとなって散ってゆくのを、ダンゾウは呆然と見遣った。思わず自分の瞳を手で押さえる。
【写輪眼】だ。写輪眼が幻術を見破れぬわけがない。
何故。
「アンタは二度死んだ、そう言ったはずだ」
サスケは最初からダンゾウの右目を覆い隠す包帯の奥には写輪眼があると睨んでいた。
だから雷遁で成形した剣で刺した際、背中から巨大手裏剣に仕込んだ刀を突き刺したのだ。
幻術で右腕にはふたつの写輪眼が開眼しているとダンゾウは考えていた。
だが実際には右腕の写輪眼はひとつも残っていない。
雷遁の剣か、手裏剣の刀か。
どちらかが【イザナギ】で無かったことにしたのは、ダンゾウの最後の奥の手であった右目の写輪眼だったのだ。
瞳術の使い過ぎとは言え、サスケの写輪眼はダンゾウに人質にされたサクラが幻術だと見破っていた。
だが既に写輪眼を使い果たしたダンゾウはそれが見抜けなかった。
それだけのことである。
「おまえには最初からうちはを語る資格などない」
写輪眼をいくつも持っていながらサクラの幻術に騙され、サスケに冷ややかに見下ろされ、ダンゾウはそれでも足掻く。
だが急に右肩がボコりと盛り上がったかと思うと、大木が急速に生えて成長し始めた。
「ぐああああああああ」
絶叫する。
サスケに刺された刀傷よりも遥かに痛いものの、それよりも恐怖が勝った。
写輪眼をコントロールする為に埋め込んだ柱間の細胞。それが暴走し始めた。
呑み込まれる。
「……死に掛けてチャクラの制御が出来なくなったようだね」
右肩から伸びる巨大な大木。
急成長する木々に呑み込まれそうになりつつも、それよりも聞き覚えのある声にダンゾウは眼を見開いた。
「な、何故…」
浮かぶ疑問に困惑するよりも先に、呑み込まれる恐怖からダンゾウは己の右腕を躊躇なく捨てる。
自ら斬り落とした腕がぐんぐんと大木へ成長するのを横目に、忍びの闇は愕然と立ち竦んだ。
右腕を失った喪失感よりも目の前の、死んだはずの存在に驚愕する。
「おじい様の力をそう簡単にコントロールできやしないよ」
翻る金髪。剛腕でありながら医療忍術のスペシャリスト。
実年齢に反して若々しい容姿。
「綱手…姫」
「よぉ…ダンゾウ。一時の火影の夢は見れたかい?」
五代目火影であり美しき女傑────三忍のひとり、綱手が其処に立っていた。
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