第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第7話 鎮魂
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よりも大きな魔術師の杖を掲げるタバサ。
何か小さな声で呪文を唱える蒼き魔法使い。その姿は、サラマンダーの作り上げた光によって夜の世界から切り取られ、ある種、神々しいまでの雰囲気を放っているかのようであった。
やがて、掲げられた魔術師の杖に集まる霊力。俺の瞳には、その杖の先に集まる精霊達の姿が強い光を放っているかの様に見える。
刹那、響く絶叫!
泣き、喚き、叫ぶ精霊達。
これは、間違いなく断末魔の悲鳴。
夜の静寂に支配された空間に相応しくない悲鳴。
しかし、死に支配された闇にこそ相応しい響き。
やがて、発動される十数本にも及ぶ氷の矢。
それと同時に、更に大きくなる小さき者たちの断末魔の悲鳴。
矢張り、間違いない。この世界の魔法は、精霊の生命を消費して発動させるタイプの魔法。
しかし、妙に効率の悪いやり方をしますね。
普通に考えたら、力でねじ伏せるよりも、友となって力を貸して貰う方が容易い。
確かに、より多くの精霊を従わせなければ同じだけの効果を得る事を出来はしない。……が、しかし、恐怖や力でねじ伏せるのは、相手との間に圧倒的な力の差がなければ難しいと思うのですが。
精霊とは、本来、使役される事。つまり、仕事を与えて貰う事を喜びます。
それを、無理矢理精神力でねじ伏せて、精霊達の生命を消費しながら魔法を発動させていては、容易く魔力切れを起こすと思うのですが。
但し、この方式なら、見鬼の才に恵まれていない人間にも魔法が行使可能だとも思います。
俺のように、精霊と契約をした上で精霊の能力を借りて魔法を発動させるタイプの魔法使いの場合、精霊の存在を感じる事が絶対条件と成ります。
しかし、現実にはそんな能力を産まれた時から持っている人間は少ない。特に見鬼の才に恵まれていたとしても、精霊の存在を感じ、其処から更に進んで、言葉を交わせる者の数は限られて来ますから。
しかし、意志の力で精霊を従わせる術式を呪文の中に初めから組み込んで有ったのならば、後はその人間の精神力次第で魔法を発動させる事が可能と成ります。
つまり、この世界の魔法は、最初のハードルを下げる事により、より多くの人々に魔法の恩恵を享受出来る環境を整えている、と言う事になると思いますね。
一子相伝や一族内のみで秘匿される技術などではなく、より多くの人に行使される魔法。
俺の住んで居た世界で言うなら、科学技術のような扱いになるのかな。
「少し、俺が妙な事をするけど、気にしないで俺の言うようにして貰えるかいな。
別に、邪まな感情から為すモンやないから」
さて。この世界の魔法は、陰の気によって発動させる種類の魔法と言うのは判りました。おそらく、精霊の生命を奪う事によっ
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