暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第3部
グリンラッド〜幽霊船
その頃の2人 〜テンタクルスの頭上にて〜
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「お前は相変わらずひでえ言いぐさだよな!! こっちは心配してやったのによ!!」

「別に頼んだ覚えはない」

「こ・の・や・ろ・おおおおお!!」

 今にも掴みかからん勢いのバカザルを必死で抑え込むシーラ。いつもと変わらないやり取りに、どこか安心している自分がいた。

「……お前のお陰でこいつの杖を失わずに済んだ。その点は褒めてやる」

「うっ……!? な、なんだよいきなり!! お前の方が百倍気持ち悪りいんだけど!!」

「ベギラマ」

 ぼおおぉぉん!!

「ぎゃあああ!!」

「ユウリちゃん……。ナギちんに対しても、もーちょっと素直になれないかなぁ?」

「ふん。これでも素直になった方だ」

 因縁の相手を倒すことが出来て、心のつかえが若干取れた気分だが、別の問題も生まれた。

 今まで蓋をしてきた感情が、今や自分では制御できないくらいに膨れ上がっている。だが、魔王を倒すためには不要なものだ。自分の感情と向き合うことで決意が揺らぐ中、俺は束の間の勝利の余韻を噛み締めていたのだった。


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