第3部
グリンラッド〜幽霊船
その頃の2人 〜テンタクルスの頭上にて〜
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つに余計なことを吹き込みやがって!!
大方前回の俺の醜態を思い出して心配になったみたいだが、余計な世話だ!! お前ら一般人と一緒にするな!!
……などと今までの俺なら頭ごなしに怒鳴っていたところだが、俺も数々の冒険で経験を積んで少しは大人になったつもりだ。伝えるべき相手がいない今、俺はあらゆる不満を飲み込み心を落ち着かせた。
「別にお前の助けなんかいらん。そもそもお前、もしこいつを倒したらどうやって船に戻るつもりだったんだ」
「ええと、泳いでかな?」
なんでそっちが疑問形なんだ。かたや俺はルーラを応用させて船に戻るつもりだったが、こいつは何も考えてなかったのか?
「じゃあ今すぐ泳いで帰れ。こいつは俺一人で充分だ」
すると、この男の存在に気づいたのか、テンタクルスが突然触腕を上下に振り始めた。さらに頭も動かし始めたので、俺達のいる場所が大きく揺れた。
「うわっ!!」
さすがのボケ男も、この状況では立っていられないのだろう。案の定足をすべらせ、海へと真っ逆さまに落ちていく、はずだった。
なんとこいつは海面すれすれの所で、丁度目の前にあったテンタクルスの足の表面にある吸盤に手足を引っ掛けたのだ。
――こいつ――!!
足の付け根辺りまで続く吸盤を使い、まるで木登りが得意な獣のようにするすると登っていく。こいつはもともと『勇者』の職業として生まれたそうだが、この身体能力の高さはその職業故か。基礎体力が平均の俺が努力で培われたのに対し、こいつは生まれながらの天才型なのかもしれない。別に悔しくはないが。
ボケ男が無駄な動きをしている間、俺はテンタクルスの目の辺りに移動しようとしていた。奴は主に視覚を使って獲物を見つけ出す。それを封じてしまえば、あとは容易に倒すことが出来るはずだ。そう考えていたら――。
「ユウリ!! もし一人で倒せるって言うなら、僕と勝負しない?」
「は!?」
あまりに唐突な発言に、俺はつい間抜け女のような返事をしてしまった。
「僕とユウリ、先にこの魔物にとどめをさせたら勝ち。負けた人はミオのことを諦める」
「な……」
何を言っているんだ、この男は。
その時、テンタクルスの触腕が俺の頭上めがけて振り下ろされるが、紙一重で飛び退く。
「何を意味のわからんことをほざいてるんだ」
「しらばっくれるなよ。彼女のことが好きなんだろ?」
「――!!」
ぶちぶちぶちっ!!
その一言に、俺の体の中にあるあらゆる血管が音を立てて浮き出たのを感じたが、怒りと動揺を悟られないよう必死で平静を装う。
「戦いの最中にそんなふざけた冗談を言える度胸は褒めてやる」
「僕は本気だよ。彼女のためなら君を蹴
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