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置いて行かれた悲しみと巡り会えた幸せ
第二章

[8]前話
 施設全体で彼、フリッターという名前だと近所の人から聞いた犬に優しく接していった。すると最初はしょげかえっているうえに人を警戒していたが。
 徐々に心を開いてだった。
「もうですね」
「すっかり明るくなってね」
「穏やかで優しくて」
「本来の性格だろうね」 
 先輩はマッケンジーに話した。
「それを取り戻したね」
「はい、それでそろそろです」
 マッケンジーは先輩に提案した。
「里親を募集しましょう」
「そうするね」
「そして幸せになってもらいましょう」
 こう話してだった。
 実際に里親を募集した、するとすぐに心ある家族に迎えられて幸せに暮らせる様になった。マッケンジーはそんな彼を訪問した家で見て笑顔になった。
 この話を聞いてだ、メキシコのある州で生きものの保護施設で働いているマルセラ=コインブラくすんだ金髪をセミロングにしている茶色の目の整った顔立ちの女性である彼女は同僚に対して話した。
「アメリカでもこうしたお話あるのね」
「そうね」
 アフリカ系の同僚も確かにと頷いた。
「何処でもね」
「この子も」
 茶色の垂れ耳も中型犬の雄の子犬、施設にいる彼を見つつ話した。
「捨てられていたからね」
「ええ、ただこの子はね」
 同僚は話した。
「事情が違うわね」
「ベンチに鎖で首をつながられていて」
 コインブラも話した。
「傍にお手紙があって」
「名前はマックスといって」
「家族に虐待されていて」
「確かに最初人を怖がって警戒してね」
「唸る位だったし」
 そうであってというのだ。
「やっぱりね」
「虐待されていたわね」
「だから家族の別の人が置いていったわね」
「ベンチに置き手紙を残して」
「それで私達が保護して」
「癒していって」
「今は人に心を開いて慕う様にもなって」
「ワン」 
 その犬、マックスもここでコインブラ達を見て鳴いた。彼女達はそんな彼を見つつ笑顔になって話した。
「この通りね」
「もう怖がらなくなって」
「それでいよいよ里親に迎えられるけれど」
「幸せになるわね」
「いい人達だし」
「置いていかれても」 
 そうなろうともというのだ。
「幸せになれる」
「アメリカでもメキシコでも」
「むしろ幸せにならないといけない」
「そうよね」
「本当にね」
 マックスを見つつ話した、そしてだった。
 彼はボストンと名付けられ心ある人達に家族に迎えられた、そのうえで幸せに過ごしコインブラ達もその彼を訪問して見てよかったと思った、例え過去はどうでも幸せになった姿を見て。


置いて行かれた悲しみと巡り会えた幸せ   完


                    2025・5・23
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