第一章
[2]次話
猫に愛されし者
漆原丈介は彼女がいたことがない、生まれてこのかた一度もだ。やや猫背で青がかった感じの黒髪を茸カットにしていて眼鏡をかけていて穏やかな顔立ちをしている。背は一七〇程でやや痩せている。
「彼氏いない歴二十八年更新中だよ」
「お前今二十八だろ」
「ですから生まれてからです」
上司の黒田上清広い額と面長の顔を持ち眉が太く小さな目を持つ一七二程の痩せた彼にこう返した。
「いないです」
「お見合いするか?」
黒田はそれならと返した。
「いい人出来るぞ」
「いえ、自分もてますから」
だが漆原は即座に断った。
「申し訳ないですが」
「ここでもてると言うとな」
黒田はすぐにわかった。
「あっちか」
「はい、あっちです」
「犬か猫か」
「猫です」
漆原は微笑んで答えた。
「ですから」
「人間の女の子はいいか」
「二次元で」
そちらでというのだ。
「充分です」
「そういうことだな」
「はい、そして」
それでというのだ。
「家、実家暮らしですが」
「猫を飼ってるんだな」
「七匹います」
「そうか、それでその子達からか」
「もてていまして」
そうであってというのだ。
「猫カフェに行きましても」
「もてるんだな」
「嬉しいことに」
こう言うのだった。
「そうです」
「そのこともいいことだな」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「このままでいいです」
「わしも犬家にいてね」
黒田も笑顔で話した。
「もてているし」
「それならいいですよね」
「人間にもてなくてもな、ただわしは一人からだけはもてているな」
「誰からですか?」
「奥さんからな」
家庭のことを笑って話した。
「だからいいな」
「人間は一人からですね」
「それで充分だよ」
漆原に笑って話した、漆原はあくまで人間は二次元でいいと返した。だが家に帰るとすぐに七匹の猫達が出迎えてきた。
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