第一章
[2]次話
痩せていた娘が
星野佳奈は痩せていた、兎に角身体全体がガリガリであり周りから食べているかと言われるのが常だった。
それは隣の家の高野光一面長で鉤爪型の眉で小さな細い目と短い黒髪を持つ彼も言うことだった。
「お前もっと食えよ」
「あんたが言うの」
「俺より痩せてるだろ」
だからだとだ、高野はその痩せた顔で和風の顔で黒髪を長く伸ばしている彼女に対して言うのだった。
「鶏ガラかよ」
「鶏ガラって酷くない?」
その表現には佳奈も抗議した。
「幾ら何でも」
「言われれたくないならもっと食えよ」
これが高野の返答だった。
「何でもな」
「それでもっと肉付けろっていうのよ」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「本当にな」
「心配してるのね」
「お隣さんで同じ学校だろ」
「中学は学区違うから別になるけれどね」
「それでもな、いいな」
「もっと食べて」
「肉付けろ、俺も食うからな」
ここでこうも言った。
「お前は俺以上に食えよ」
「それで鶏ガラでなくなれっていうのね」
「そうだよ」
こう言うのだった、佳奈もその言葉を聞いてだった。
これまで以上に食べる様になった、そうしている間に佳奈と高野はそれぞれ違う中学に進んだ。学校が変わるとだった。
二人は会わなくなった、二人共学校が変わっても会うこともあると考えていたがそれぞれ部活をはじめて塾にも通ってだった。
会うことはなくなった、それは中学時代の三年間ずっとだった。
だが高校の入学式でだ、高野はクラスの名簿に佳奈の名前を彼のクラスに認めて中学の時から一緒の友人に話した。
「星野って凄い痩せてたんだよ」
「そうだったんだな」
「俺も痩せてたけれどな」
今は中肉と言っていい体格で話した、背は中背である。
「そいつはもっとでな」
「ガリガリだったんだな」
「ああ、女の子だけれどな」
笑って話した。
「鶏ガラみたいだったんだよ」
「鶏ガラか」
「まるでな」
「そこまで痩せてたんだな」
「骨と皮ばかりでな」
「痩せ過ぎか」
「もっと食えって言ったな」
高野は自分の言葉を思い出した。
「本当にな」
「痩せ過ぎだったんだな」
「そうだったんだよ」
こんな話をしつつ自分のクラスに入った、そして佳奈を探した。幸いすぐに小学校の時から同じ髪形で顔も和風のままですぐにわかったが。
一六二程の背になった彼女は。
「高ちゃんよね、三年振りね」
「っておい」
高野はその佳奈に顎が外れんばかりの顔になって言い返した。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ