白き極光編
第1章
アタック・ザ・オクトパス?イエス!アイム・オクトパス!
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帝国ニンジャ、ガーゴイルを撃退して以降、エドガーらのバナンを守りながらのナルシェへのイカダ旅は順風満帆であった。
危険なモンスターの巣窟を抜け、川の流れも次第に緩やかになり、空は快晴そのもの。
エドガーが自身のマントを畳んで用意した簡易的な枕でティナも仮眠を取る事が出来ている。
「ふっ、こうしていると極々普通の女子じゃの。…それもそうか。常人との違いなど、力を持っているか否かでしかないのだから」
静かな寝息を立てるティナを眺め、バナンはどこか安堵したような言葉を漏らした。
リターナー本部では力に悩む彼女に説教めいた講釈を垂れたが、心のどこかでは僅かながら畏怖を抱いていたのだ。
「バナン様、万が一接岸時に帝国の待ち伏せがあった場合、私とマッシュが切り込みます。バナン様はティナと共にプラン通りナルシェへ」
「うむ…しかし…」
自分達2人は捨て石にせよ…さすがにバナンもそれを快諾する事は出来ない。
「リターナーを率いるバナン様と、幻獣との架け橋になり得るティナ…今最も重要なのはこの2人なのです」
エドガーの決意は固い。
こちらを振り返り、歯を見せて笑うマッシュも、その目に宿る意志は同じらしい。
「…分かった。だが、お主ら兄弟もまた重要な存在なのだ。フィガロの為にもな」
「承知しております。そもそもにしてリターナーへの協力も、フィガロを守る為の選択。死ぬつもりは毛頭ありません」
若いと言えど、その双肩には一国の民全ての運命を乗せている。
かつて帝国もまだ軍事行動を起こしていなかった頃に開かれた、各国代表による首脳会談。
多くの者が国を継いだばかりの若い王を侮るような態度を見せていたが、今やそこに列席していた者の殆どが既にこの世に無く、逆にエドガーとフィガロは生き残った。
それは国の頂点に立つ者の責任、すなわち国家を存続させる為に何を為せば良いかを常どれだけ考えていたかの差なのかもしれない。
他の者がそれを怠っていたわけではなく、ただエドガーの努力がそれを上回っていただけの話だ。
「私はフィガロであり、フィガロは私です。断じて無駄にして良い命ではありません」
「…そうか。それを分かっていてくれれば良いのだ」
バナンは頷き、手にした杖を支えに立ち上がった。
「ま、ロック達の帝国軍撹乱が成功した事を祈っておきましょう。向こうはニンジャ2人もいますしね」
「そうじゃな。…はて? エドガーよ、あそこの水面…」
「うん…?」
背筋を伸ばして前方へ目を向けていたバナンの言葉を受け、エドガーとマッシュも目を細めてその指先を追う。
そこまで激しくなくなっているはずの川の流れだが、その一部分のみ不自然に波打ち、大小の気泡が水面を揺らして
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