第二章
[8]前話
「そうだよ」
「そうでしたか」
「今で言うと高卒で」
「入団して」
「活躍していたんだ」
「そうだったんですね」
天音は二階堂の話をこの時はただ聞くだけだった、だが阪神ファンであり高校野球で阪神の本拠地甲子園球場が使われているので。
戦前の選抜野球に興味を持って調べるとだ。
「十五歳で甲子園で試合した人もいれば台湾や朝鮮半島からも」
「当時は日本だったからね」
二階堂は天音に話した。
「それでだよ」
「野球をしていまいたね」
「甲子園でもね」
「そうでしたね」
「中学でね」
「そうでしたね」
「それで昔の中卒は」
それはというと。
「高卒でね」
「高校が大学でしたね」
「実際に戦後大学になったしね」
戦前の高校がというのだ。
「それで高校からね」
「大学に進んでいましたね」
「大学は大学院みたいな感じで」
そうであってというのだ。
「大学を出て職業野球に入った人もいたよ」
「プロの世界に」
「そうした時代だったんだ」
二階堂は天音に学校の中で一緒にジャージ姿で雑用をしつつ話した。
「昔と今じゃ違うところがあるよ」
「学校でもですね」
「そのことがわかるとね」
「色々と面白いですね」
「歴史がわかってね、しかしね」
ここでだ、二階堂は悲しい顔になった。そのうえで話した。
「戦争で変わったけれど」
「中学が高校に」
「けれどあの戦争で中学を出てね」
そうしてというのだ。
「野球選手になったけれど」
「戦争に行った人も多いんですね」
「沢村さんもだよ」
「戦死していますね」
天音もこのことは知っている。
「そうですね」
「そのことは残念だよ、他にもね」
「大勢の人が戦死していますね」
「そのことがね」
どうにもと言うのだった。
「残念だよ」
「そうですね、戦争がなかったらどれだけよかったら」
「そのことは思うよ」
戦争で学校も選抜野球も変わった、だがその戦争がなければとだ。
二人は思った、そのうえで高校で働いていくのだった。かつて中学だったそこで。
昔の中卒 完
2025・5・20
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