第二章
[8]前話
「中々来てくれないとか」
「あるか」
「はい」
加藤に海老フライ定食を食べつつ話している、見れば加藤が食べているのはスパゲティナポリタンである。
「そうです」
「そうなんだな」
「実際収入はよくなりました」
そこはというのだ。
「やっぱり大きいです」
「アパートの管理人はか」
「はい」
実際にというのだ。
「収入よくなりました」
「そうなんだな」
「ですがその分です」
「やることが増えたか」
「気苦労も」
こちらもというのだ。
「そうなりました」
「そうか、しかし仕事はしっかりしてるな」
このことはだ、加藤は確かな声で告げた。
「君は」
「いや、何かあっても時々で」
加藤に笑って返した。
「困った人もいないんで」
「だからか」
「女房も管理に関わってくれていて」
「奥さんがか」
「それで俺がいない間もやってくれるんで」
アパートの管理の方をというのだ。
「ですから」
「それでか」
「はい」
武藤はさらに話した。
「仕事に影響出る位はです」
「困っていないんだな」
「そうです」
「それはよかったな」
「はい、ですが時々でもです」
「そっちの仕事も来るか」
「そうなっています、ですがそちらも仕事ですから」
だからだというのだ。
「頑張っていきます」
「こちらに支障が出ない様にな」
「そのことも気を付けていきます」
武藤は確かな声で答えた、加藤はその声を彼の今の顔を見てだった。微笑んでこう言ったのだった。
「君なら大丈夫だな」
「そうですか」
「ああ、どっちもやれる」
「それならやっていきます」
「応援しているよ」
武藤に笑顔で言った、そしてだった。
武藤は実際にどちらも頑張った、するとどちらも両立させて充実した日々を過ごした。定年した時に夫婦の貯金はかなりのものになり老後の心配は無用だった。
大家の仕事 完
２０２５・５・２０
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