暁 〜小説投稿サイト〜
星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第百六話 焦燥
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
はならんだろう…。
「大尉、ウィンチェスター副司令長官の作戦が成功したら、帝国はどうなると思う?」
「はい…帝国軍は二正面に戦線を構える事になります。これは同盟軍も同様ですけれど…何かご懸念が?」
「うん。二正面作戦はこの場合、同盟軍にとっても博奕なんだ。兵力は限られているからね。でもウィンチェスターは敢えてそれを実行した。何故だと思う?」
「戦力的に厳しくとも攻勢に出た方がイニシアチブを握る事が出来る…からでしょうか」
「うん、それもあるね。だけどウィンチェスターはどうやら帝国軍はあまり気にしていない様だ。彼は帝国そのものに揺さぶりをかけている」
「帝国そのもの、ですか」
「うん。辺境への援助、捕虜交換、そして今回のガイエスブルグ要塞攻撃…帝国から見て、戦争は行われているものの今まで同盟…叛乱軍というのは遠い存在だったんだ。それが実体を帯びて身近な所に迫ってくる…戦争の当事者たる帝国政府や帝国軍はともかく、帝国の民衆や門閥貴族はどう思うだろうね。特にガイエスブルグ要塞の向こうは、門閥貴族達の領地がひしめいている」
「ですけれど、門閥貴族は帝国の支配層の筈です。危機に際しては帝国政府に協力して挙国一致体制をとるのではないでしょうか」
「普通に考えればそうだね。でもウィンチェスターはそうは思ってないみたいだ。門閥貴族は自分達の為にしか戦わない、そう判断している。むしろそう仕向けているんだろうと思う。ガイエスブルグ要塞攻略は帝国軍や政府よりも、貴族達の喉元に短剣を突きつける様なものだからね」
「では門閥貴族達は自衛の為の行動を取る、と…帝国は割れますわね」
「まあ、一部の貴族は帝国政府に協力するだろうけどね、政府閣僚も居るだろうし…時間はかかるが確実に帝国は混乱する…いや、それほど時間はかからないかも知れないな」
「壮大で遠大な計画ですね…」
「うん。でも一つ気掛かりな事があるんだ」
「何ですか」
「帝国の民衆さ。彼等は政府や貴族達以上に混乱するだろう。犠牲も出るかも知れない。そこが気掛かりなんだ」


7月27日13:45
フォルゲン宙域、フォルゲン星系外縁(ヴィーレンシュタイン方向)、銀河帝国軍、
ミューゼル艦隊旗艦ブリュンヒルト、
ラインハルト・フォン・ミューゼル

 “損害は軽微ですが、兵力を融通して貰いながら、あたら兵士達を死なせてしまいました。申し訳ございません”

「いや、卿はよくやっている。三個艦隊相手では仕方あるまい…変則的にはなるが卿の艦隊は中央とするが、よいか」

“はっ、謹んでお受け致します”


 叛乱軍め…わざわざこの星系に移動するとはな…主要航路上で存分に戦おうという事か…。
「叛乱軍は中央に第五艦隊、右翼第一、左翼第六艦隊。後方に第十三艦隊の布陣です」
「叛乱軍の中央
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ