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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第百六話 焦燥
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リアンが端末を操作すると、三次元の立体投影図が現れた。
「ユリアン、今回の戦いの概略を頼む」
はい、という返事と共に敵味方のシンボルが表示され、動き始めた。
「二人共、どう思う?感想でも、質問でも何でもいい」
私がそう言うと、グリーンヒル大尉が口を開いた。
「そう、ですね…味方はミッターマイヤー艦隊の包囲に手間取った、という印象を受けます」
「そうだね。ユリアンは何かあるかな」
ユリアンは概略図の時間経過を巻き戻して、ある時点で止めた。
「ビュコック長官は…第五艦隊の先頭を叩いている小集団を後退させる為にアッテンボロー提督を動かしたのでしょうか」
「あら、どうして?第十三艦隊はミッターマイヤー艦隊の本隊を狙うコースで迂回しているわ」
「この時点では我々第一艦隊は足止めされていますから、第五艦隊の援護に向かえません。おそらく帝国軍は本隊とこの小集団とで第五艦隊の先頭を殲滅しようとしたのではないでしょうか。それを嫌ったビュコック長官は第十三艦隊にわざと帝国軍本隊を狙うコースを取らせたのではないかと」
「成程ね…そうなるとこの小集団は本隊の援護に向かうわね。本隊に合流するか、アッテンボロー提督の正面に立ち塞がろうとするかも知れない。どちらにしても第五艦隊の行動を阻害する要因はなくなる、ビュコック長官は攻撃に専念出来る…やるわねユリアン」
「若者を甘やかすのはよくないな、大尉…ユリアン、その行動だと第十三艦隊を動かす必要はないんじゃないか?第五艦隊の中から戦力を分派してこの小集団の行動を妨害すればいい。何故長官はそれをしなかったんだろう?」
「ええと…戦いを短時間で終わらせる為だと思います。この戦場に限って言えば、同盟軍の方が圧倒的に有利です。ですが帝国軍、ミューゼル軍本隊が救援に駆けつけるのは間違いありませんから時間的余裕はありません。それでまず第十三艦隊を動かした。第十三艦隊は半個艦隊ですから小回りが利きますし…第十三艦隊の行動を警戒してこの小集団が本隊に合流すれば、敵本隊を正面から第五艦隊、右側から第十三艦隊、二つの艦隊で挟撃出来ます。この小集団が第十三艦隊の足止めに向かったとしても結果は似たようなものです、第五艦隊は敵本隊の攻撃に集中出来ます。どちらの状況になっても、敵は我々の足止めをしている小集団も本隊に合流せざるを得なくなります。結果、味方は三方向からミッターマイヤー艦隊を攻撃する事が可能です。その頃には第六艦隊にも移動命令が出ているでしょうから、同盟軍の包囲は完璧なものになります…敵増援もあるでしょうから、第六艦隊による後方遮断は難しいかもしれませんが…」
「合格。中々よく考えたな、ユリアン」
ユリアンの成長には目を見張るものがある。手が空いている時は空戦隊の方にも顔を出しているという。
「褒美として今日は先に休んでなさ
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