激闘編
第百六話 焦燥
[4/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
少将、左の第一艦隊の足止めを頼みたい…少しの時間でいい、頼む」
了解、と短く返事をしたケンプが画面から消えると、続いてバイエルラインが映し出された。
「卿はレマー、ジンツァーと共同して、敵第五艦隊の先頭集団に楔を打ち込め」
こちらも短く返事をして通信は終わった。緒戦とは違う緊張感を感じているのだろう。戦闘をうち切るタイミングを見極めねば…。
23:45
自由惑星同盟軍、第一艦隊旗艦ヒューベリオン、
ヤン・ウェンリー
第五艦隊の先頭集団を分断する様に、敵の小集団が左側面から襲いかかる。意図は明白だ、ミッターマイヤー艦隊の本隊とその小集団とで第五艦隊の先頭集団を潰すつもりなのだろう。
「第五艦隊の援護を行う。前進」
前進を命じた直後、三千隻程の別の小集団が立ちはだかった。斉射来ます、というオペレータの悲鳴の様な報告があがった。
「敵も打つ手が早いな。俺達を進ませない気だ」
ラップが感心したような感想を述べた。
「その様だね…構わない、攻撃を集中だ。こちらも斉射三連、単座戦闘艇の用意を」
「どうするんだ?」
「あの小集団の相手を戦闘艇に任せるのさ。逆に拘束したのちに右から迂回してミッターマイヤー艦隊の本隊を叩く」
「了解した」
会話を聞いていたムライ中佐が動こうとした時、再びオペレータの悲鳴があがった。
「敵の反応が急速に増加!単座戦闘艇の模様!」
7月26日00:30
自由惑星同盟軍、第五艦隊旗艦リオ・グランデ、
アレクサンドル・ビュコック
「第一艦隊の前進が止まりました。互いに戦闘艇同士の戦闘が開始されています」
「中々どうして敵もやりおる。総参謀長、第十三艦隊に連絡、左から迂回してミッターマイヤー艦隊の本隊を衝くようにと」
「とどめを差すのなら第六艦隊の方が宜しいのでは?」
「第六艦隊は第八艦隊の残りを率いておる。その分艦隊行動には遅れが出るじゃろう、図体も大きいしな。であれば小回りの利く第十三艦隊の方が素早く動けるじゃろう。それに第十三艦隊が動けば、こちらの頭を叩いている小集団も退く筈じゃ」
「了解しました」
ミッターマイヤーという軍人、一個艦隊で一歩も退かんとはな…緒戦の戦闘を見るに、ヤンはこの艦隊の存在の為に上手く戦えんかった様じゃ。であれば敵の増援が来ぬうちに潰しておった方が賢明じゃろう…。
7月26日00:35
銀河帝国軍、ミッターマイヤー艦隊旗艦ベイオウルフ、
ウォルフガング・ミッターマイヤー
敵第一…ヤン艦隊の足止めには成功した様だな…だがケンプもそう長くは保つまい。
「前進だ。敵の先頭集団を殲滅する。バイエルラインに本隊と呼応しつつ距離を保って攻撃を続行せよと伝えろ」
「はっ…これは…失礼しました、閣
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ