激闘編
第百六話 焦燥
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帝国暦487年7月25日23:00
フォルゲン宙域、ヴァルトブルグ星系中心部、銀河帝国、銀河帝国軍、メックリンガー艦隊旗艦クヴァシル、
エルネスト・メックリンガー
「犠牲を出しながらもミッターマイヤー艦隊の追撃を振り切るとはな。流石は第十三艦隊と言うべきか」
概略図にはミッターマイヤー艦隊と叛乱軍第十三艦隊の戦闘の様子が映し出されている。ミッターマイヤー麾下のケンプ分艦隊を主力とする六千隻が第十三艦隊と対峙…敵は一定の距離を取っていたが、十数度に渡る疑似突出と後退による欺瞞行動にひっかかり、急速に追撃に移ったケンプ分艦隊の行動に対応出来ず、千隻程の犠牲を出して急速後退していった。その逃げ足は見事なもので、ミッターマイヤー本隊が迂回の動きを見せた時には既にケンプ分艦隊の有効射程範囲から離れていた。
「逃げ足は一級品ですね。余程我々と戦いたくないのでしょうか」
副官のザイフェルトが呆れた様な声を上げる。
「そうではあるまい。叛乱軍も戦力維持を第一に考えているのだ。奴等とて無限に戦力を保持している訳ではないからな。監視と牽制に済めば越した事はないとでも考えている筈だ」
「しかし叛乱軍は五個艦隊の増援を繰り出しました。第十三艦隊はその先陣では?」
「その戦力は我々を殲滅する為の戦力だろう。名高い第十三艦隊を餌に我々を引きずり込もうとしているのかもしれん。第一艦隊、第六艦隊が救援に来ないのがその証だ。敢えて後退戦を演じてアムリッツァ外縁辺りで増援と合流し、包囲殲滅を考えているのかもしれん」
「我々はそれに乗らずに漸減作戦に徹する…という訳ですか」
「上層部の指示は待機だからな。その枠内ではそれが精一杯だ」
ザイフェルトは納得した様に頷くと、飲物を持って参りますと言って従卒と共に艦橋を降りて行った。
改めて全体の概略図を見直す…ここフォルゲンでは激しい戦闘が行われているのに対して、ボーデンでは緒戦こそ戦闘があったものの終始睨み合いが続いている。ロイエンタールと叛乱軍、互いに相手を逃がさない様にしているのだ。分かりきった事だが、我々帝国軍が撤退出来ないのに対し叛乱軍はいつでもアムリッツァまで後退出来る。奴等に増援が現れた今ならいつでも撤退しても良さそうなものだが…我々の戦力規模が判明している以上、叛乱軍は遮二無二フォルゲンとボーデンで戦わなくてもいいのだ。叛乱軍はここフォルゲンに三個艦隊ないし四個艦隊を展開している。ボーデンには二個艦隊。アムリッツァには此処に現れた第十三艦隊を差し引いて四個艦隊……合計九ないし十個艦隊だ。それに引き換え我々は両宙域合わせて四個艦隊弱…こちらの増援が到着しても七個艦隊、劣勢なのは間違いない。
「どうぞ。ミネラルウォーターですが」
「長丁場だからな、酒じゃない方がありがたい」
冷えたミネラルウ
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