SAO編−白百合の刃−
SAO28-純白の優しさ
[8/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
0になれば現実世界と同様に死んでしまうので、生き残るためなら平気で人を騙したり道具のように利用したりする人もいるだろう。実際、ユリエールさんが話したことが嘘じゃなければ、シンカーさんはキバオウの言葉を信じてしまった結果、死地へ飛ばされモンスターに殺されかけるようなことになってしまった。幸い、生き残ることができたようだけど、一歩間違えれば死んでいた。私達もユリエールさんの話を信じて、騙されて死んでしまったらどうにもならない。
「そんなことわからない夢だけしか見ないヒーローじゃないわよ」
「だったら俺の言うこともわかるよな」
「そりゃあもちろん」
わかっている。兄が私のために言っていることも伝わる。
「じゃあ、兄はユリエールさんのお願いを拒むって言うの?」
「そう言うわけじゃない。ただ素直に頷ける情報がないんだよ」
兄の話を乗っかり、アスナが口にした。
「キリト君の言う通り、最低限のことを調べないと……わたし達、『軍』の内情に関してはあまりにも無知すぎるの。わたしだってユリエールさんの力を貸して上げたいけど……今ここで、うんとは頷けない」
それが普通だ。兄とアスナの反応はもっともであり、普通のことだった。今あったばかりの相手に加え、昨日徴税と称して恐喝及び、子供達を人質に取った『軍』の人の話を信じ切れないのは当たり前のことだ。それに加えて私達は『軍』の関しての情報は少ない。
でも、助けたい気持ちなのは人誰しもあるだろうし、兄もアスナもユリエールさんに協力はしたいのだろう。だけど可能性の話として、ユリエールさんが私達を騙している可能性だってある。協力するには最低条件の情報が必要になってしまう。
断言は出来ないけど否定も出来ない。現実世界と同様、信頼関係がなければそう簡単には協力できない。
それでも、私は……。
「私はユリエールさんを信じる」
ユリエールさんは求めているんだ。シンカーさんを助けたいのに、自分一人では届かない。だから誰かに助けを求めて訪ねてやって来たんだ。
私はそれが嘘ではないと、信じる。
「根拠は?」
「そんなのあるわけないでしょ」
「バカ野郎」
「バカ野郎って……なんか新鮮だね、ドウセツ罵倒シリーズ」
「バカ言ってないで、根拠なしに助けるの」
「そうだよ。私は助けを求めていたら、助けるし、手を指し伸ばす。シンカーさんはユリエールさんの大事な人だから、助けたいの。助けたいから私達に力を求めにやってきたと理由だけで、助ける理由として十分だよ」
「……そう」
ドウセツはこれ以上言うことはなかった。これ以上言っても聞きやしないと諦めたのか、それともそれを承知したから一応聞いてみただけだったのか、ドウセツは相変わらず無表情で淡々としているからわからない
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ