SAO編−白百合の刃−
SAO28-純白の優しさ
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パーティー敗退、隊長死亡は最悪の結果となり、博打は失敗。キバオウはその無謀さを強く糾弾されたのです。その結果と基づき、もう少しで彼を追放できるところまで行ったのですが……」
「どうなったのですか?」
彼女の表情を見て察しはついていた。まだ平和的に解決出来ていない。その答えは、高い鼻梁にしわを寄せ、唇を噛み締め、言葉にしてくれた。
「三日前、追い詰められたキバオウは強攻策としてシンカーに罠をかけました。出口をダンジョンの奥深くに設定してある回廊結晶を使って、逆にシンカーを放逐してしまったのです」
「あの、それでしたら、転移結晶は……」
「キバオウは『丸腰で話し合おう』と言う言葉を信じたせいで非武装なのです。とても一人でダンジョン最深部のモンスター群を突破して戻るのは不可能な状態なんです。戻って来ないとなると、転移結晶も持ってないかもしれません」
イチの疑問にユリエールさんは答える。
転移結晶を持っていたら、多分私達のところへは来ないだろう。
人間追い詰められると、容赦なくなるよね……。
「それでシンカーさんは?」
「『生命の碑』の彼の名前はまだ無事なので、どうやら安全地帯まではたどり着いたようです。ただ、場所がかなりハイレベルなダンジョンの奥なので身動きが取れないようで……」
ダンジョンにはメッセージは送れないし、ギルド倉庫もアクセス出来ないから転移結晶も届けることも出来ない。シンカーさんが助かるにはシンカーさん自らの足で帰還するか、他の者から迎えに行き、転移結晶を届けるしか方法ぐらいしかないってわけね。
「『ポータルPK』のことくらい知っているはずなのに疑いもしなかったと考えると……貴女と同じお人好しなのね」
「そうかもねー」
まぁ、ドウセツが私を見て言うのも、自分でわかっちゃうからなんとも言えないが……。
「『ポータルPK』……ねぇ……」
出口を死地ど真ん中に設定し、回廊結晶を使って行う殺害方法。シンカーさんは反目していたとは言え、なにか仕掛けて来るとは思ってもいなかったからキバオウの罠に嵌まってしまったんだ。いや、罠だと思いたくなかったのかな?
私もキバオウさんは悪い人じゃないと思っているし、立場のこともあってPKしなかったのもあるけど、最悪シンカーさんを殺さなかったとなると、まだ善人としての心が残っているんだと考えてしまう。実際はちゃんと訊いてみないとわからないけど、私はそう信じたい。
「ギルドリーダーの証である『約定のスクロール』を操作出来るのはシンカーとキバオウだけです。もし、シンカーが戻らなければ、ギルドの人事や会計までキバオウの好きなようにされてしまいます。シンカーが罠に落ちるのを防げなかったのは、副官で
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