SAO編−白百合の刃−
SAO28-純白の優しさ
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頭良い。
「『MMOトゥディ』の略称で、SAO開始当時の日本最大のネットゲーム総合情報サイトだ。ギルドを結成したのは、そこの管理者で名前は…………シンカーですよね、ユリエールさん」
兄がシンカーの名を口にした時、ユリエールさんの表情がわずかながら歪んでいた。
「彼は……彼は決して今のような、独善的な組織を作ろうとしたわけじゃないんです。ただ、情報や食料とかの資源をなるべく多くのプレイヤーで均等に分かち合おうとしただけで……」
「だけど、その行動は崩壊へと招き、彼は指導力を失ったと……」
「……はい」
私もドウセツが言った通りの結末は聞いていた。
MMORPGは、プレイヤーのリソースの奪い合いであり、例えSAOの世界に閉じ込められたという異常事態でも変わりはしなかった。
シンカーがやろうとしたことは間違いではない。むしろこの事態だからこそ、やるべき行動の一つだ。だが、それをやり抜くには現実的な規模、強力なリーダーシップ、天性のカリスマ性がなければ実現できるのは難しいのだろう。そして『軍』はあまりにも巨大過ぎていて、とても一人では全てをまとめることは簡単ではない。
結果ドウセツの言う通り、少しずつ削られ、そして崩壊してしまった。
「得たアイテムは秘匿が横行し、粛清反発が相次ぎ、リーダーは徐々に指導力を失った時に台頭してきたのがキバオウと言う男です」
ユリエールさんは苦々しい口調で話続けた。
キバオウはシンカーが放任主義を利用し、同調する幹部プレイヤー達と体制の強化を打ち出し、アインクラッド解放軍に変更。更に公認の方針として、犯罪者狩りと効率のいいフィールドを独占して推進。最低限のマナーは守っていたものの、次第にキバオウ一派の権力は強力になり、徴税と言う恐喝まがいの行為することにまでなってしまった。
だけど、キバオウ一派にも弱みがあったらしく、資財の蓄積だけにうつつを抜かし、迷宮攻略をしなかったことだった。本末転倒の声が末端のプレイヤーの間で大きくなってしまい、それを抑えるために配下からコーバッツ率いるハイレベルの十数人で攻略パーティーを組み、最前線のボス攻略に送り出したと言う博打に出た。
結果は私達が目にした通りなら、惨敗。
まとも相手にすることもできずに、コーバッツを含めた数名が戦死。最悪の結果を残すことになってしまった。
コーバッツは何がなんでも退かなかった理由は結果を残すことだった。その証明を手に入れる以外が全て敗北なんだろう。故に壊滅状態でもあろうが、退くことはけして許されない。
でも……死んでしまえば、そこまでなんだよね……。いくらでもやり直せることだってできるのに……。
ユリエールさんは一息ついてから話続けた。
「
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