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SAO編−白百合の刃−
SAO28-純白の優しさ
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を動かしたりとかはしないと思うよ」
「奴らしいと言えば、奴らしいな……」

 アスナから出たことに対して兄は顔をしかめてお茶をすすった。
 要は攻略第一で、下で何が起きても攻略に影響が起こらない限り動くことはないってことなのね

「イリーナさんは?」
「イリーナさんも同じだと思う」
「動くとは思わないわね。知恵は貸すけど、率先して自分で解決しようとはしない。イリーナさんが率先しているのは、教育だわ」
「うーん……『軍』を教育するために、動いてくれるってことはないの?」
「ないわ。貴女が『軍』の人達を血聖騎士団に入団させるのなら、話は別だけど」

 それでも知恵を貸してくれるだけ、ヒースクリフさんよりかは協力的か。ドウセツが嘘つくとは思えないし、知恵だけしか助けてもらえないか。まったく、強いんだから下層の人助けぐらいしてもいいのに。
二人が協力して来ないとなれば、最悪問題が起こった時は私達でやるしかない、か。ただ、私達だけでは出来る範囲が限られるんだよね……。せめて、徴税と称して恐喝している『軍』の反対派と協力すれば、なんとかなるかな?
 ふと視線を兄に向けると。教会の入り口のほうを見やっていた。
 それは……。

「誰か来るぞ。一人……」
「え?」
「またお客様かしら……」

 サーシャさんの言葉を重ねるように、音高いノックの音が館内に響き鳴った。
 サーシャさんは越に短剣を吊して向かい、念のために兄とイチはついていった。

「誰なんだろ……」
「昨日の変態集団のリーダーじゃないの? ちゃんと抗議出来ると本気で思っているのかしらね」

 ぽつりと口にした言葉にドウセツは冷静に毒を吐く。
 抗議の可能性はあるかもしれない。昨日はあんなのだったけど、『軍』に所属していることに変わりない。ただ、変態集団って……どんだけ彼らを見下しているのよ。
 出迎えに行った三人が一人の女性プレイヤーを連れて戻って来た。銀色の長いポニーテール。鋭く整った顔立ちで空色に光る瞳。大人っぽくて怜悧(れいり)と言う言葉にぴったりな美人さんだった。
 でも、ただの美人ではなかった。
 右個人にショートソード、左腰には巻かれた黒革の鞭が吊されて、濃緑色の上着と大腿部(だいたいぶ)がゆったりとしたズボン。ここまではフィールドに出て戦うプレイヤーであることはわかる。
 だが彼女は、鉄灰色のケープに隠されているが、スレンレススチール風に鈍く輝いている金属鎧。それが『軍』であることを象徴している。
ドウセツの推測通りに『軍』に所属するプレイヤーが訪れた。
相手が『軍』だとわかれば、どうしても警戒心を生んでしまう。その影響は、戦場さながらの食事は休戦になり、子供達の手が止まる。

「皆さん、この方は悪い人ではないので大丈夫
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