第一章
[2]次話
マイホームの穴
浅田家は念願のマイホームを買った、それで一家の主人のサラリーマンの恭介細い目に四角い顔で尖った口の黒いスポーツ刈りで一七五位の痩せた色黒の彼も妻の理恵面長で優しい顔立ちで長い黒髪に色白で一五七位のすらりとしたスタイルの彼女も喜んでいた。
生活は快適だった、夫の会社からも近く言うことなしであったが。
「ここ虫多くない?」
「そうだよな」
夫は妻の言葉に確かにと頷いた。
「この家は」
「どういう訳かね」
「しょっちゅう虫が飛んでいてな」
「壁や床にもいるわね」
「色々な虫がな」
「別に山や川に近い訳でもないのに」
山は少しは慣れた場所にある、川もだ。
「住宅地でね」
「別に虫が多くなることはないよな」
「それでどうしてかしら」
「問題は蚊だな」
夫はこの虫を警戒した。
「刺されると痒いし」
「病気もあるしね」
「予防接種はしていても」
二人の息子で小学三年生の恭也の話もした、顔は父親そっくりである。
「刺されないことが一番だしな」
「蚊取り線香も買わないとね」
「ちゃんとな」
こうした話をした、虫が多いので。
二人にとっては何故自分達の家に虫が多いかわからなかった、だが近所の人達も同じことを言っていた。
「この住宅地は何処もか」
「虫が多いみたいよ」
妻は夫に夕食の時に話した、妻は妻でパートで地元のコンビニで働きはじめている。今は三人でカレーを食べている。
「これがね」
「そうなんだな」
「そう、それでね」
そうであってというのだ。
「どうして多いか」
「それがわかったのか」
「この辺り湿地だったらしいのよ」
「住宅地になるまではか」
「そう、沼が多くて」
それでというのだ。
「住宅地になっても湿気が多くて」
「虫は湿気が好きだからな」
「だからね」
そうした場所だからだというのだ。
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