第116話 辺境病
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信を持っている男性は明らかに好みではないし、俺のような『運とコネを持っている』自分より若い同階級の男性士官など敵同然に見えているのだろう。第一〇二四哨戒隊にはそれなりに女性の高級士官がいる。特にドールトンは旧知だ。自意識過剰かもしれないが、俺を貶める為に遮二無二手を伸ばしてくる可能性は十二分にある。
「大変面白いお話を伺えました。ありがとうございます。サトミ大佐」
「少しは蒙が啓けたかね? ボロディン中佐」
「えぇ、そうですね。人付き合いの難しさというのは、場所それぞれであると改めて認識できました。良い勉強になりました」
「そうかね。まぁ技術的なモノ以外で士官学校首席に何か教えられたものがあるとすれば、私の経験もなかなか捨てたものではないというものだ。ここにはいつでも足を運んでくれると嬉しいがね」
俺が席を立つと、サトミ大佐も席を立って手を伸ばしてくるので、年配の老士官に深い敬意を表する好青年士官の笑顔を浮かべ、その手をしっかりと握りしめた。
周辺視野の隅にある本棚の一冊。とある化学合成に関係する分野の論文冊子の背表紙に俺が気づいていないと、はっきり認識させる為に。
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