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スーパーヒーロー戦記
第22話 もう一人の仮面ライダー
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身!」

 最早性質の悪い冗談にも思えた。だが、その時一文字のベルトの風車が猛烈に回転しだしたのだ。それは今まで本郷がバイクに乗り風を受けていた時の数倍である。

「な、何!」
「おっ、やってみるもんだねぇ。まさかこんなポーズでよかったとは…人生挑戦してみるもんだ」

 ニヤリを微笑み、そして跳躍した。すると一文字の姿がみるみる内に変わっていく。
 ダークグリーンの仮面に紅い目。その姿は正しくもう一人の仮面ライダーであった。

「か、仮面ライダーが二人だと!」
「その通り、俺はフリーカメラマン、一文字隼人。又の名を…【仮面ライダー2号】」
「に、2号?」
「って、何で2号なんですか?」

 幼い二人には意味が分からず首を傾げていた。そんな二人に向かい一文字は指を鳴らす。

「こう言う時は必然的に1号、2号って言うじゃん?」
「え、でも他にもないんですか? 例えば【01】とか【Z】とか…」
「あ〜、そう言うのは覚えが悪いから良いの。覚えやすいし、何より良いじゃん。何か2号出たぁって感じがしてさぁ。そもそも2号ってのは1号よりも…」

 その後もくどくどと一文字の薀蓄は続いていた。が、流石に呆れたのか仮面ライダーがそっと手を置く。

「薀蓄も良いが、そろそろ出ないとアジトと心中する羽目になるぞ」
「マジで! そいつぁ御免だぜ!」
「待て仮面ライダー! 俺様と心中しろ!」
「嫌でござんす! 死ぬならてめぇ一人で死ね!」

 言うや否やサボテグロン目掛けて飛び掛った。硬く握り締めた拳をサボテグロンの顔面に叩き付ける。

「ヒヒィィィィ!」

 悲鳴を上げながらぶっ飛んでいく怪人。それを見た2号はポカンとしていた。

「今更ながら凄い力だなぁこれ…さしづめライダーパンチってか」
「分かったからさっさと逃げるぞ」
「あいあい」

 感傷に浸っている2号を引っ張り、四人はアジトを抜け出した。その直後に大爆発が起こり大規模な地盤沈下が起こる。幸いその付近に民家は無く只ショッカーのアジト一つが壊滅しただけに留まった。
 その光景を四人は山道から眺めていた。

「やれやれ、あんな物騒な連中が世界中に居るとなると、恐ろしくて震えちまうねぇ」
「だが、俺は戦わなければならない。人類の未来の為に…ん?」

 ふと、一文字が本郷の背中を叩いている感覚に気づく。振り向くと一文字が自分を指差していた。

「俺…じゃねぇ。俺達…だろ?」
「一文字…」
「なっちまった以上は仕方ねぇ。こうなったらとことんまでやってやるさ。その仮面ライダーって奴をよ。だから宜しくな。1号」
「俺の方こそ。共に戦おう! 2号」

 本郷と一文字が互いに硬く握手を交わした。その光景をなのはとフェイトは見ていた。


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