断章1話 黒髭と呼ばれた男(中編)
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この『喜劇』に冷めている自分を自覚しながらも、努めて笑顔で、ジョン・レイスは眼の前の新任少尉に、賞状を渡した。
「おめでとう!よく頑張ったね」
(こんな真似をしなければ、彼らをモビルスーツに乗せられないとは)
彼、彼女らがコーディネーター、もしくはハーフコーディネーターだから、努力をしていないわけでは決してない。
むしろ、彼らは地上のコーディネーターに降りかかる差別を払拭させるために立った、立派な人間であった。
だが、連合の根強い差別主義者の妨害にあい、今はアズラエル財団に雇われた、外部協力者として連合解雇→アズラエル旗下で戦時雇用という形で雇われている。
ナチュラルという偽装付きでだ。
その無意味さに内心ため息をつきながら、自分たちの写真をとる、遠征で一番の『成果』を見て心身の平静を保っていた。
『四田・カイ』
事情を聞けば、東方の連合の基地司令に利用されていたらしい。
聞けば家族のために金が必要とのことなので、きっちり処分を伴う抗議を中枢に進言してからこちらの下に移籍させた。
自分に火の粉がかからないように金で釣って、偵察を民間人に委託とか、正気じゃないだろ(連合から認可を得たかのようなポスターも作っていたらしいので、これも公文書偽造で追加報告しておいた。カイ君のカメラにデータがあったので)
まあ、仕事熱心で優秀な人間を潰される前に保護しただけでも、良しとしよう。
そう自分を納得させ、壇上から降りて広報課に引き継いだ後ろに、苦虫を噛み潰したかのような顔のイヴがいた。
「……言いにくそうだけど、次は何?」
彼女は答えた。
「旧国境近く、一部の街が防衛計画から漏れてる、多分襲われてる」
……くそっ!
こちらも神様ではない。
ニュートロンジャマーのせいでレーダー等の索敵が難しい以上、取りこぼし無しはありえないが、人為的ミスで民間人を危険に晒すのは本当に嫌になる。
セットした七三分けを手で崩しながら、頭をフル回転させる。
セレモニー中に言ってきたということは、かなり危機的状況なのだろう。
なら、ごたごた言ってる暇はない。
「理由は後で聞くが、その位置なら事前に渡された基地司令の地図に掲載されていない。詰問案件だ。大西洋連邦の戦艦クルーに、防衛任務放棄と偽装の罪で司令を一時拘束させた後、叙勲したパイロット含め出せる戦力纏めて出撃する。……『嫌な感覚は強いか?』」
「うん。だけど、事前に聞いた所によると、山岳が入り組んでいるみたいだから、私が先導して案内するわ」
そう話し、2人分のモビルスーツを手配する彼女を横目に、まずは我々のやりとりを見て察してくれ、準備してくれているアズラ
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