断章1話 黒髭と呼ばれた男(中編)
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たい』
そんな『祈り』であったはずの処置は、世間の諍いや圧力によって差別の温床となった。
あいつの家、プラントに内通しているらしいぞ……
そんなくだらない噂で、親父さんの仕事が減った。
コーディネーターならば飢餓にも強いはずだと、滅茶苦茶な理論で市役所からの配給も減った。
それとなく、だが確実に地球圏でのコーディネーター差別は各国に蔓延し。
最後の仕上げとばかり、コーディネーターが地球の全世界規模の窮乏の原因となった『エイプリルフール・クライシス』が差別を『正当化』するのを助長してしまった。
なんせ、コーディネーターがわざわざ犯行声明まで出してくれたのだ。
叩くネタになるのに、これ以上のものは無かった。
勿論、突然仲が良い皆が皆豹変するようなホラーなことはなかったが。
ゆっくりと、遠くから締めるように『差別』は生活を締め付けた。
実際、エイプリルフール・クライシス後、あまりの外的圧力にかなりの数のカップルが破局したと聞くが、カイは違った。
目をつけられている義父とミハルの代わりに、ナチュラルの自分が配給を貰い、皆に配った。
就職した新聞社の取材で食品工場の視察に行くときは、責任者に頭を下げ、密閉に失敗した缶詰や期限切れの缶詰を貰い、ミハルやその家族の腹を満たした。
ミハルや義理の父から離縁を提案されたが蹴った。
自慢じゃないが、恐らくこの国でヤミ米、ヤミ食料をこの時期稼いだのは自分だと自負できるほど、カイは働き、成果を食料に変え、家族全員を飢えさせなかった。
だが、足りない。
育ち盛りを二人抱え、自分の家族も含めると大人が6人。
今は辛うじて乾燥食料を貯められても、いずれ近いうちに足りなくなるのは自明の理だった。
飢えは、病気や体調不良を誘発し、働く事に支障をきたす。
一気に稼ぎたかった。
その時、『その仕事』がうちの街にも舞い込んできた。
『ザフト機動兵器視察兵』
そう題された、実際はカメラ一つで連合が相対する、ザフトの情報を抜いてくる文字通り『死兵』
完全出来高制、しかし目が飛び出る報酬につられ、どう考えても死亡フラグ満載な俺が生き残れたのは、単純に運が良かったからだ。
運命の女神の慈悲か。
一発目で『大西洋の死神』の部隊に合えたのだから。
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かなりの頻度で往復を行っていたため、かなり時期は曖昧だが。
世界樹防衛戦が終わり、世界樹コロニーの基地や住居部分の再建が進む中、ジョンは何処にいたかというと、地上に降りて、大西洋連邦を中心に、未だザフ
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