第三部 1979年
新元素争奪戦
スペツナズ その3
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をノックする音がした。
これは美久ではないな……
マサキが無言で立ち上がる。
ドアを開けると、そこには給仕の制服を着た男が顔色一つ変えずに立っていた。
「誰だ……」
マサキは言葉を切ると、タバコに火をつけた。
「この国には、我らと同じように、ソビエトと友好を望む人間がいる」
目の前の人物は、マサキは即座に何者かが送り付けた刺客だと理解した。
髪型や給仕の制服の着こなしから、焦って潜入したことがありありとわかる。
「脅しか……」
マサキは、吸っていたタバコを灰皿に放り投げる。
「生きていく方法を教えているのだ」
男は唾を吐きかけたくなるほど憎んでいるマサキに対して、笑みを浮かべて答えた。
マサキは、開襟シャツの胸元に手を入れて、ショルダーホルスターに指をかける。
「賢い男は、素手で敵に立ち向かわない」
M29リボルバーを握るマサキの手をつかむと、男は思い切り、下から腹部を蹴り上げる。
悲鳴と同時に、マサキは拳銃を取り落とし、その場に蹲る。
マサキが一瞬怯んだのを見て、男はこう切り出した。
「これは脅しだ」
物音を聞きつけた白銀が、ガラス窓を割って、部屋に入ってきた。
マサキがリボルバーを拾うよりも早く、男は、袖の下より自動拳銃を取り出す。
白銀は、マサキに自動拳銃を向ける男に、脇差を放り投げる。
男の発砲よりもわずかに早く、脇差は男の右手に刺さった。
白銀は持って来た細引きで、襲撃犯の事を縛り上げていた。
マサキは、蹴られた腹部を庇いながら立ち上がった。
警備の厳重なホテルに入り込むのは、容易ではないはずだ。
おそらく警察の中にも協力者がいるのだろう。
マサキは、白銀に問いただした。
「こいつはこの間、アイリスを狙った連中か」
白銀は部屋に盗聴器がある前提で、奥歯にものが挟まった言い方をした。
「おそらく、そう受け取ってもらって結構です」
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