暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第三部 1979年
新元素争奪戦
スペツナズ その3
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
をノックする音がした。
 これは美久ではないな……
 マサキが無言で立ち上がる。
ドアを開けると、そこには給仕の制服を着た男が顔色一つ変えずに立っていた。
「誰だ……」
 マサキは言葉を切ると、タバコに火をつけた。
「この国には、我らと同じように、ソビエトと友好を望む人間がいる」
 目の前の人物は、マサキは即座に何者かが送り付けた刺客だと理解した。
髪型や給仕の制服の着こなしから、焦って潜入したことがありありとわかる。  
「脅しか……」
 マサキは、吸っていたタバコを灰皿に放り投げる。
「生きていく方法を教えているのだ」
 男は唾を吐きかけたくなるほど憎んでいるマサキに対して、笑みを浮かべて答えた。
マサキは、開襟シャツの胸元に手を入れて、ショルダーホルスターに指をかける。
「賢い男は、素手で敵に立ち向かわない」 
 M29リボルバーを握るマサキの手をつかむと、男は思い切り、下から腹部を蹴り上げる。
悲鳴と同時に、マサキは拳銃を取り落とし、その場に(うずくま)る。
 マサキが一瞬怯んだのを見て、男はこう切り出した。
「これは脅しだ」 
 物音を聞きつけた白銀が、ガラス窓を割って、部屋に入ってきた。
マサキがリボルバーを拾うよりも早く、男は、袖の下より自動拳銃を取り出す。
 白銀は、マサキに自動拳銃を向ける男に、脇差を放り投げる。
男の発砲よりもわずかに早く、脇差は男の右手に刺さった。 
 白銀は持って来た細引きで、襲撃犯の事を縛り上げていた。
マサキは、蹴られた腹部を庇いながら立ち上がった。
警備の厳重なホテルに入り込むのは、容易ではないはずだ。
 おそらく警察の中にも協力者がいるのだろう。
マサキは、白銀に問いただした。
「こいつはこの間、アイリスを狙った連中か」
 白銀は部屋に盗聴器がある前提で、奥歯にものが挟まった言い方をした。
「おそらく、そう受け取ってもらって結構です」
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ