白き極光編
第1章
ザ・シーフ・アンド・ジェネラル
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かの魔導アーマーの配線を切って動けなくしたし、ニケア経由でリターナーが海路遮断に動いたってデマも流した。ソルヴェントがアーマーの予備部品を当面使えなくしたし」
「へへ、ついでに連中が船で運び込んだ食糧にちょちょっと下剤を混ぜてやったよ。無作為にな」
「…そいつはまた悪辣だなおい…まぁ、焼き払ったりしたら街の人達から食糧を徴発とかするかもしれないからな。そのくらいのが良いか」
ロックは運悪く“当たり”を引いてしまった兵士の姿を想像して心の中で合掌した。
「ともあれ妨害工作はこんなとこで良いだろ。そんじゃ後で合流しよう」
「よし来た! シマッテコーゼ!」
サムズアップしたソルヴェントが地面へと沈んで行った。
それを見届けたロックは、出来得る限りの威圧的な態度を取って富豪の家に入った。
「あー、突然だが見回りをさせてもらうぞ。リターナーのスパイが街に潜り込んでいるらしいんでな」
「えぇ!? は、はい…で、でもそんなのいても私は無関係ですよ!」
家主である小太りの金持ちは額に汗を浮かべながらしどろもどろ。
「そ、それに地下にはまだお宅のお仲間もいますし…」
「(地下に仲間…帝国兵?)うむ、そうか」
ロックはズカズカと家の中に入り、どこかからか吹いて来る隙間風を感じ取ると、そちらへ向けて歩を進めた。
「(ここか…)」
部屋の入口から死角になっている、壁と本棚の間に地下への階段を見つけたロックは、家人の目を意識して不遜な態度を崩さずに降りていく。
地下は想像よりも広く、通路もかなり奥まで続いている。
これを進んで行けば、ソルヴェントの示した脱出地点に辿り着くであろう。
「…?」
その時、通路脇の1室から殴打音と鎖の揺れる音が聞こえた。
ロックが窓から覗き込むと、帝国兵が2人。
1人は椅子に腰掛け、もう1人は拳を打ち合わせながら何か喋っている。
「裏切り者はこうなるんだ!」
その拳が向かったのは…女性だ。女性の顔だ。
壁から突き出た杭に繋がれた鎖で両腕を拘束された女性は、殴られた頬を赤く染めてなお兵士を睨み付ける。
正面から見ると、女性とは言っても20には届いていない、少女と呼んでも差し支えない顔立ちだ。
金のロングヘアーに碧眼、緑色のレオタードの上に純白のマントを両肩の金具で留めている。
頭には青いヘアバンドが見えた。
「(あれは…確か帝国の将軍…名前はセリス将軍だったはず…なんでこんな所に…?)」
ロックは帝国に関して様々な調査を行い、幹部クラスの多くは把握している。
その中の1人として彼女の事も記憶していたのである。
「ふんっ、常勝将軍とも呼ばれたセリス様も落ちぶれたもんだ。帝国の正義を
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