白き極光編
第1章
フラッグ・オブ・ストラグル
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覚悟を決めて茂みから飛び出したスクラピュラスエミッサリーは、リターナー本部側から猛進して来たスノーモービルに撥ね飛ばされた。
考え事に夢中になっていたが為に接近するエンジン音に気付かなかったのだ。
「イヤーッ!」
「アバーッ! サヨナラ!!」
空中で踊るスクラピュラスエミッサリーへ、コールドホワイトがスリケンを投擲。
しめやかに爆発四散!
「シャウトしながら飛び出すものだから反射的に殺ってしまったが、リターナーのニンジャじゃないよな?」
コールドホワイトはモービルの速度を落とさずに後ろの爆煙を眺める。
後部座席にロック、そしてモービルのボディに必死にしがみ付いているのはソルヴェントだ。
「あ、ああ。リターナーのニンジャは俺とあんただけだ」
「じゃあ敵の偵察ニンジャって事か。倒して正解だったなコルディ」
「まぁただの野良ニンジャかもしれんが…いずれにせよ近くにニンジャがいると困るからな」
3人が向かっているのはコルツ山だ。
「あの山の地形は把握した。このまま駆け抜けてサウスフィガロ方面へ突破する」
来る時にはスノーモービルを降りていたが、それは山道の構造が不明だった為だ。
迂闊に疾走すれば、崖から飛び出して奈落に真っ逆さまなどもあり得る。
だが、行きの道程で少なくとも通過したルートは完全に記憶したコールドホワイトは、この違法改造モービルのモンスターエンジンに物を言わせて一気に突き抜けるつもりだ。
「お前ら、しっかり掴まっておらんと谷底への紐無しバンジーだぞ」
「それは遠慮願いたいね!」
「右に同じ!」
盛大に土煙を上げながら、山道をかけ上る鋼鉄の怪物!
「な、なんだ!? うわぁぁっっ!?」
逆に下りて来ていた帝国兵達は、突っ込んで来る怪物の姿に、慌てて左右の岩壁に張り付くように避ける。
「ひ、ひえぇっ!!」
最後尾にいた魔導アーマー兵は、迎撃も忘れて操縦席から飛び降りる。
その判断は正しい。次の瞬間にはモービルの突進を受けた魔導アーマーは、大質量に耐えかね転がりに転がって、敢えなく奈落の底へと落下したからだ。
くぐもった爆発音がコルツ山に響き渡った。
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