白き極光編
第1章
フラッグ・オブ・ストラグル
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エドガーの眉間に皺が寄る。
「バナン様は…幻獣を利用して魔導の力を行使する帝国が魔大戦を…1000年前に世界中を焦土と化したあの惨劇を繰り返すと…?」
「…帝国は、何らかのルートで手に入れた幻獣から魔導の力を抽出し、それを人間に注入したという説もある」
コールドホワイトはティナに同行していた帝国兵、ビックスとウェッジを思い浮かべる。
あの2人は明らかに他の帝国兵よりも魔導アーマーの性能を引き出していた。
ひょっとすると彼らも魔導の力を与えられていたのかもしれない。
「かといってこちらも魔導の力でぶつかり合えば、それこそ魔大戦の繰り返しじゃ。…そこで、だ。ワシは幻獣との話し合いが出来ぬか…と思っている」
一同がどよめきの声を上げ、それぞれの顔を見合わせている。
無理も無い。彼らは幻獣という単語を知ってこそいるが、それが厳密にはどのような存在なのかは知らないのだ。
「魔大戦の折、特に大規模な戦を繰り広げた2つの勢力は、それぞれに幻獣と人間が共闘して成り立っていたという。ならば、少なくとも幻獣には人間と同等かそれ以上の知性があると考えられる」
バナンはティナへ視線を回した。
「…危険ではあるが…ティナとナルシェの幻獣をもう1度反応させる事で、幻獣が目覚めるやもしれん。…確かな事は言えんがな…」
ティナは目を伏せる。
少しだが、幻獣と接触した時の全身のざわめきを身体が覚えているのだ。
「…もし幻獣との交渉に成功すれば、帝国中枢を電撃的に叩く事も可能だろうし、それ以前に幻獣そのものを味方としたこちらからの和睦要請を帝国も無視は出来ないだろう。その交渉のテーブルで、占領国の解放などを取り付けるのだ」
「肝心の幻獣との交渉は?」
エドガーが切り込む。
「もし、帝国が幻獣から魔導の力を取り出しているのが真実とすれば、ナルシェの幻獣にとっては仲間を傷付けられているも同然。対帝国に同意してもらえる可能性は低くはない」
バナンは席に座ると、水を口に含んで一呼吸おいた。
「…無論、この計画には…ティナ、おぬしの協力が必要不可欠となる。どうであろうか?」
「ティナ…」
ロックは肩の震えるティナへ声を掛ける。
「…やってみましょう。それで戦いを終わらせられる可能性があるのなら」
それに応じ、ティナは決意を込めた瞳で顔を上げた。
「場当たり的だが…帝国との差を考えれば短期決戦にならざるを得ないからな…反帝国の国々が滅ぶ前に幻獣の力を借りられれば…」
難しい顔をするエドガーの背中を、マッシュが叩いた。
「やろうぜ兄貴! 俺は難しい事は分からないが、帝国は早くどうにかしなきゃならないのは分かる!」
「…そうだな、マッ
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