白き極光編
第1章
フラッグ・オブ・ストラグル
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再びティナへ近付くと、右肩に手を置いた。
「全ての邪悪が飛び出した後の箱の奥には…まだ希望という1粒の光が残っていたのだ。よいか、ティナよ」
ロックに支えられ立ち上がったティナの目を、バナンは真っ直ぐに見つめる。
「おぬしの力は呪いではない。希望だ。この世界に残された最後の1粒なのだ」
ティナの青い瞳が見つめ返す。
「…バナン様。言わんとする事は分かります。ですが彼女は…」
エドガーが改めて声を上げた。
「…いかんな、歳を取ると長話になってしまう。ここまでの旅で疲れたであろう。休んでくれ」
咳払いをしたバナンは、部屋の外にいた兵士にティナ達を仮眠室へ案内するよう命じた。
「よく我慢したじゃないか」
ティナを寝かせて部屋を出たロックが、コールドホワイトに声を掛けた。
「何がだ」
「バナン様がティナを焚き付けた時、拳を握ってたろ。殴り掛かったらどうしようかと思ったよ」
「馬鹿な。何故俺がそんな事をする」
コールドホワイトは手をプラプラと振って否定するが、ロックの表情は真剣そのものだ。
「…利用する利用する言ってるけど、本当はティナに情が移ってるんじゃないのか」
「ニンジャが? 非ニンジャのクズにか? ハッ、冗談はよせ」
「ニンジャも大元は人間と変わらないって言ったのは自分だぞ。それは心も例外じゃないんだろ?」
「………」
2人の間にしばしの沈黙。
「ロック=サン、お前はあの娘を守ると言ったな。自分の言葉に責任を持てよ。必ず守り抜け。奴は俺が戦後利用する大事な戦力だからな」
コールドホワイトはそのまま背を向けて歩き去った。
「…自分にその資格は無いってか…」
2時間後、バナンは改めて一同を作戦室に招集した。
「諸君。皆も知っての通り、帝国は魔導技術を背景に各地へ武力侵攻を繰り返している。しかしだ、そもそもにして帝国は如何にして失われた魔導の力を手にしたのか?」
長テーブルに着いたメンバーを見回したバナンが問い、その視線を受けてエドガーが立ち上がった。
「ロックの調査の結果、ガストラ皇帝はある時を境に世界中から学者を集め、幻獣に関する研究を始めたらしい」
次いでロックが立ち上がった。
「そんな時、ナルシェの炭鉱の奥から氷漬けの幻獣が発掘されたという情報がもたらされ、すぐに魔導アーマーとニンジャまで投入してのナルシェ攻撃が行われた」
「…魔導と幻獣…そこに繋がりがあると」
コールドホワイト。
「そう、魔導と幻獣だ。コールドホワイト殿はともかくとして、我々にはこのキーワードから思い出される事があるはずだ」
「…魔大戦…ですか?」
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