第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第6話 召喚事故
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物ですから。
仲間を作る、と言う美辞麗句で飾り付けながらね。
「ここで、空手の通信教育を三日間だけやっていた、と答えたらギャグにはなるんだろうけど、残念ながらまったくない」
未だ、冗談を言うぐらいには心に余裕がある才人がそう答えた。
尚、今年の使い魔召喚の儀は、妙に時間が掛かっているらしく、もう夕暮れ時に成りつつあるのですが、未だ終わりには到着してはいません。
確かに、人間を召喚して仕舞うと言うイレギュラーな事態が二例も起こったのですから、それも仕方がないとは思うのですが。
「やれやれ。そうしたら、しゃあないか」
俺は、そう言ってからひとつため息。そして、桃の実の詰まった籠と一緒に置いてあった無銘の刀を才人に差し出す。
それに、これは、俺が持っていても意味の無い代物ですし、日本人の才人に取って、最初の武器としても相応しい武器かな、とも思いましたから。
日本刀なら、西洋の剣に比べても軽いし素早く攻撃が出来ます。更に切れ味に関しても保証済みの武器でも有ります。
但し、チャンバラ映画ではないですから、刀で相手の攻撃をイチイチ受けていたら簡単に刃こぼれを起こしますし、折れて仕舞う代物でも有るのですが。
「これは?」
才人が不思議そうな表情、及び雰囲気で、俺の差し出した無銘の刀を受け取る。
「無銘やけど、本身の日本刀やな」
俺は、至極当然の答えを返す。……って言うか、このタイミングで日本刀を渡されて、その意味が判らないなんて言う事は……。
「本身って、真剣って事?」
俺の言葉に驚いた才人が、渡された黒拵えの日本刀を一度取り落しかけ、慌てて握り直した後に、自らの両手の中に有る武士の魂と、そして、目の前に居る俺の顔の間に視線を彷徨わせる。
……って、おいおい。矢張りこれは、この刀を渡した意味を少し説明する必要が有りと言う事ですか。
「えっとな、才人。このままやったら、オマエさんは使い魔と言うよりも使用人と言う立場に成りかねないんや。
例えば、ヴァリエール嬢の身の回りの世話をする専用の使用人にな」
いや、使用人と言うよりは、従僕と呼ぶ方が格好は良いですか。もっとも、言い方を多少変えたところで、結局、やらされる仕事は同じなのですが。
俺が、才人に対してそう告げながら、視線の方ではルイズを見つめた。
そして、俺の視線に気付いたのか、彼女はこの台詞に対してさも当然のように首肯く。
確かに、彼女のその仕草自体は可愛いのかも知れませんね。何と言うか、未だ貴婦人と言うには一歩か二歩足りない美少女が、大人のマネをして鷹揚に首肯いているように見えなくもないですから。
もっとも、そんな事は才人に取っては何の慰めにもならないのですが。
何故なら
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