Part3/ミノタウロスを追え
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解く。
「単刀直入に訊く。ここで何をしていた?」
「み、見ての通りの人売りでさぁ」
小物感丸出しで、拘束されたならず者の一人が、銃口を向けるシュウの質問にそう答えた。
「奴隷や情婦として売る…か」
言い方が悪くなるが、この世界が地球よりも文明が遅れ気味なせいもあるのだろう。その分治安も行き届きにくく、人を商品にして売り飛ばす、このような手だれがハルケギニア中にいる。
「イルククゥを物扱いして許せないのね!
って言うか、お姉様とお兄さん、気づいてたのね?」
イルククゥは、ならず者たちに怒りを表しながらも、疑惑の面を向ける。本当はシュウとタバサは、あらかじめ本物のミノタウロスなど犯人などではなかったのでは、と。
「ミノタウロスの生態事態、お前も知ってたんだろ。加えてミノタウロスが出したと言う手紙、あの時点で疑いを持つには十分だ」
「敵を騙すには味方から」
「…ろくな死に方しないのね」
シュウから遠巻きに、あんなわかりやすい要素が合ったのに気づきもしなかったのかと呆れたような言い方をされ、タバサからもこの有様。おそらくラルカスも聞かされているだろう。イルククゥは二人をやや恨みがまし気に睨んだ。
「ではもうひとつ聞かせてもらう」
シュウはならず者の銃口を向ける。
「な、なんでございやしょう?」
「エズレ村とこの領土一体で行方不明者が多発していた件だ。これもお前たちが攫った件か?」
「し、知らねぇ。俺たち、ミノタウロスがここにいたって話を聞いて、それを利用しようと思っただけでさぁ」
「嘘つくんじゃないのね!攫った他の人たちも返すのね!」
「本当でさぁ!嘘じゃねぇ!」
イルククゥの疑惑の指摘に、質問された男の一人が声を上げた、その時であった。ならず者たちに縄が一人でに、一斉に解けてしまった。
拘束を解く魔法だ。直後、タバサがよく使うものと同じ、〈ウィンディ・アイシクル〉が、ならず者たちの喉元に浮遊していた氷の矢を砕き、タバサの杖とシュウのディバイドシューターを弾き飛ばしてしまう。
「そこの小僧と小娘、動くなよ」
入り口の方から男の声が、歩み寄る音ともに音響しながら近づいてくる。振り返ると、酷く痩せこけ、ボサボサに伸びきって手入れもされていない髪と髭お生やした男が杖の先を向けてきていた。
「お、遅いっすよ『オルレアン公』!俺たち、見捨てられたんじゃないかってヒヤヒヤしてたんっすから」
「助けてやったんだからぐちぐち言うな」
ならず者の文句を、オルレアン公と呼ばれた男は一蹴する。見たところはぐれメイジのようで、このならず者たちのリーダーらしい。
「なんで、その名前を名乗ってるの」
タバサは、オルレアン公と呼ばれた男に問う。
「うん?あぁ、私もかつては貴族でね。兄に家督争いで煮湯を飲まされてこの様さ。名前なんてもうその
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