第2話 異界の住人
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???本当に、今日は自分の甘さ加減にうんざりするわ。
これまで事態を甘く見ていたことや、今の発言の招いた事態への後悔から、忍は自分の唇を強くかみしめる。だが、意識の無い時を狙うという事は、この悪魔は彼を恐れているという証拠だ。
何としても、時間稼ぎを続けなければならない。
「だ、だからさっきも言ったでしょう! 彼は今絶対安静なの、誰かと会えるほどの余裕なんてないし、下手に動かされでもしたら、本当に命に……。」
「はぁ〜〜〜〜。ねぇ、あなたすっごく面倒。せっかく自分の意思があるうちに案内してほしかったのに。あんまり駄々こねると、ちょっと自分から喜んで案内してもらうようにしちゃうわよ?」
可愛く言ったつもりだろうが、その実脅しでしかない。
自分から喜んで、と彼女は言った。つまり目の前のこの悪魔には、人の意思を自由に操れる能力がある。だがそれでも敢えて忍たちが自ら少年の所に案内するように促している、という事が分かる。
正に悪魔の所業。無防備な少年のもとにこの悪魔を近付けさせたくない、という自分たちがしたくないと思う事を的確に見抜き、無理矢理でもそれを行わせようとする。
しかも悪辣な事に、もうどうやっても彼のいる部屋に案内することは回避できない。断れば意思を奪われた状態で案内をさせられる事は、彼女の発言から火を見るより明らかだ。
彼は最後の希望だ、ここまで終始悪魔のペースに乗ってしまったが、何としても守り抜かなければならない!!
「……分かったわ。じゃあ、私が案内するからついてきてもらえるかしら。」
「お、おねぇちゃん!?」
驚くすずかに、すぐさま部屋を出てノエルとファリンを呼んでくるようアイコンタクトを送る。悪魔が少年のもとに行くことが避けられない今、悪魔の気が少年に向いている一瞬の隙をついて少年を逃がすなり、悪魔に抵抗をするなりしなければならない。そのためには、戦力は多い方がいい。
「そうそう、物分かりがいい子っておねぇさん好きよ。まぁ、一番好きなのはジュンゴだけど、キャッ?」
「…………とにかくこっちよ。ついてきて」
???何がキャッ?、よ。この悪魔め。
忍は心の中で悪態をつく。これから少年のもとへこの悪魔を案内し、かつ少年に危害が及ばないようにする、という矛盾した無理難題をこなさなければならない。それを行う事の難しさや、無事 少年の安全を確保したとしても、悪魔に対抗する事ができるのだろうか。忍の心に、様々な不安が浮かんでは消えていく。
そんな事を考えながらでも、悪魔の契約者である少年のいる部屋についてしまった。
ここからが少年を、家族を守れるかがかかった正念場だ。忍はより一層気合いを入れる。
「ここにいるわ。じゃあ、先
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