第二章
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「おい達の方針が変わって」
「長州藩と手を結んだでごわすからな」
「倒幕の為に」
「坂本さあが仲立ちをしてくれて」
それでというのだ。
「盟友同士になったでごわす」
「昨日の敵は今日の友として」
「そうしたでごわすからな」
「新選組はおい達の敵になったでごわす」
「それで坂本さあも」
彼もというのだ。
「新選組に命を狙われているでごわすな」
「それで伊東殿が忠告したでごわす」
このことも言うのだった。
「自分も新選組だがと言って」
「新選組に気を付けろと言っているでごわすな」
「岩倉卿も」
彼もというのだ。
「坂本さあに注意したとよ」
「新選組に気を付けろと」
「坂本さあは強かと」
大久保は強い声で言った。
「一見飄々としていても」
「北辰一刀流免許皆伝でごわす」
中村が応えた。
「その腕は確かでごわす」
「中村殿もそう言うまでに」
「おいと切り合っても」
そうしてもというのだ。
「わからんとよ」
「それだけの腕たい」
「しかし新選組は剣客揃い」
中村は鋭い目で述べた。
「しかも相手を仕留めるのに手段を選ばない者達」
「酔い瞑らせたり闇討ちは常」
「一人に大勢でかかる」
「だからおい達も気を付けているとよ」
「その新選組に命を狙われているなら」
「いや、おいどんも若しかすると」
ここで西郷が言ってきた、前を見つつ。
「赤元さあに」
「西郷どん、一体」
「いや、今は言わなもっそ」
自分の言葉を止めた。
「ただ半次郎さあか佐々木殿に」
「坂本さあを」
「これから次第でごわすな」
無表情で述べた、これまでの笑みを消して。
そうした話をしつつ山の中を進んでいった、何時しか妙な気配はなくなり一行は山の奥の滝の前に着いたが。
そこでだ、西郷は滝から流れ水面を満たす紅の葉達を見て笑顔で言った。
「これはよかでごわす」
「和歌にあったごでわすな」
大久保も微笑んで続いた。
「かつて」
「そうでごわしたな」
「いや、あの歌そのままに」
「今おいどん達はか紅葉の川を見ているでごわす」
「滝から流れる」
「これはよかでごわす」
西郷は満面の笑みで言った。
「ここに来てよかったでごわす」
「全くでごわすな」
「おいどん達は何かとあるでごわすが」
政の中でというのだ。
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