第一章
[2]次話
車椅子
そう言われた時は何とも思わなかった。
「車椅子に乗ると大変ですか」
「ええ、そうなのよ」
小学三年生の高峰忍、赤い顔で小さな澄んだ目で黒髪をセミロングにしている彼女に担任の牧村麻衣子薄茶色の髪の毛をボブにして大きな優しい目に眼鏡をかけた楚々とした感じの一六四位の背ですらりとした彼女が話した。
「実は先生も子供のころ少しお世話になったの」
「そうなんですか」
「足を怪我してその間ね」
怪我が完治するまでというのだ。
「車椅子を借りてね」
「使われていたんですか」
「その時大変だったから」
それでというのだ。
「皆少しでもいいから使ってみてね」
「車椅子の人がどれだけ大変か、ですね」
「わかってね、足が不自由なkとがどういうことか」
「何でもないんじゃないですか?」
男子生徒の一人が麻衣子に言ってきた。
「別に」
「そう思うの?」
「はい、車椅子でも動けますよね」
麻衣子にこう言うのだった。
「だったら」
「そう思うわね。先生もそうだったから」
麻衣子はその生徒に優しく微笑んで話した。
「お世話になるまでは。だからね」
「僕達これからですか」
「ええ、乗ってみて」
学校の道徳の授業で身体障碍者の人への配慮について教えている中で言うのだった、何故そうした人へのケアはバリアフリーが必要かを教える中で。
「そうしたらわかるから」
「わかりました」
「けれど何でもないですよね」
別の生徒が言ってきた。
「こんなこと」
「そうだよね」
他の生徒も言った。
「車椅子でも動けるし」
「何でもないよ」
「何が困るのかな」
「わからないわ」
生徒達はそれぞれ首を傾げさせて言った、そうしてだった。
「そんなに大変?」
「先生が言う位に」
「全然思えないけれど」
「どうなのかな」
「そうよね」
忍もわからなかった、それで言うのだった。
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