第一章
[1/2]
[1]次 最後 [2]次話
宗教を否定
神も仏も信じない、自分の力だけで生きていく、山本清美はいつもこう言っていて、歯茎がやたら出ている大きな歯が目立つ顔で面長で黒髪をショートにしている。背は中肉中背だ。
その彼女の発言を聞いてだ、同じ大学で同じ学部に通う同級生の浜崎結月は言った。すらりとした長身で黒髪をショートにした切れ長の目とやや面長の顔と白い肌を持っている。動きやすいシャツとスラックスという服装だ。
「無理だ」
「自分一人の力で生きて行くのは?」
「そうだ」
友人の中山晴香かやや四角く愛嬌のある顔立ちで柔道をしていることがわかる体形とやや長い黒髪を持つ彼女に答えた。
「まして神仏を信じないのではな」
「いや、無神論関係あるの?」
「彼女は無神論でもだ」
この考えの持ち主の中でもというのだ。
「典型的なマルクスだからな」
「共産主義ね」
「もうソ連はない」
結月は晴香にこのことを言った。
「共産主義はもう論理的に破綻した」
「それはね」
晴香も否定しなかった。
「そう言っていいわね」
「それで今共産党に投票しているそうだが」
「唯一の健全野党とか誇らしげに言ってね」
「そんなことではな」
「生きていけないの」
「生きてこうとすれば」
そうすればというと。
「確実に間違える」
「間違えるっていうと」
「間違った生き方をする」
「そうなるの」
「必ずな、それがどういった間違いか私はわからないが」
「ソ連崩壊しても共産主義で」
「それに基づいて神仏を信じずだ」
そうした無神論者であってというのだ。
「自分の力だけで生きて行こうとするならな」
「間違えるの」
「そうなる、やがてわかる」
「彼女がどう間違えるか」
「そのことがな」
こう言うのだった、そうしてだった。
結月は山本について語ることを止めた、晴香もどう間違えるのか気になったが柔道のことも学業のこともあるのでそちらに集中した、そうして彼女のことを忘れてだった。
キャンバスライフを過ごしそれから就職して結婚して家庭を持った。その間ずっと柔道を続けていたが。
結婚してから夫と一緒に沖縄に旅行に行った、その時たまたまレンタルした車で運転中にアメリカ軍の基地の前を通ったが。
「何ここ」
「噂に聞いてたが酷いな」
運転している夫の岩城幹也大柄で逞しい身体に細い目と四角い顔の彼も実に嫌そうな顔で言ったのだった。
「運動家が占領しているな」
「公道なのに、ここ」
「それで抗議しているな」
「物凄く狂暴そうね」
「無法地帯か」
夫は苦々し気にこうも言った。
「ここは」
「そんな感じよね」
「ああ、まともじゃないな」
「早く通り過ぎましょう」
「下手に見たら襲われそうだな」
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ