第一章
[2]次話
失われたユートピア
帰りたい、心から思った。
OLの須藤乃理子は自分がいた教団のことについてこう思うばかりであった。
「追い出されるなんて」
「思わなかったのね」
「真面目にね」
友人の浜口美里に話した、乃理子は黒髪を肩の長さで切り揃えた優しい感じの大きな目に赤い唇にやや面長の優しい感じの白い顔に一六〇位の背で胸が大きい。美里は黒いロングヘアで大きな黒い切れ長の目で一六四程の背で胸は乃理子以上に大きい。二人共今はセーターにズボンというカジュアルな服装である。
「信仰を守って」
「ボランティアもお供えもしていたの」
「ええ、けれど幹部の人の一人にね」
「嫌われたのね」
「その人にあることで言ったの」
美里に喫茶店の中で紅茶を飲みつつ話した。
「あることで違うんじゃないかって」
「言ったの」
「そうしたらね」
それがというのだ。
「もうね」
「その人に追い出されたのね」
「教団で力のある人だったから」
「そうなのね」
「凄くいいところで」
乃理子は心から言った。
「いい人達ばかりで」
「救われたのね」
「入信した時何かと悩んでいたけれど」
「お父さんが病気でね」
「お母さんもね、お仕事も上手くいっていなくて」
そうした状況でというのだ。
「凄くね」
「困っていたわね」
「ええ、それでもね」
その状況でもというのだ。
「仕事帰りにお誘い受けて」
「布教していて」
「それでね」
その時にというのだ。
「入信して」
「その教えで心が救われたわね」
「お父さんとお母さんの病気も治って」
そうもなってというのだ。
「これも神様のご加護って思って」
「嬉しくて」
「信心してね」
「その中で頑張っていたわね」
「いい人達ばかりで。けれど」
それでもというのだ。
「追い出されて」
「戻りたいのね」
「ええ、どうすればいいかしら」
「追い出されたなら」
ここで美里は乃理子に言った、彼女もコーヒーを飲んでいる。
「もうね」
「もう?」
「いいんじゃない?」
「いいって何がよ」
「戻らなくてね」
こう言うのだった。
「別にね」
「いえ、それは」
とんでもないとだ、乃理子は美里に言葉を返した。
「絶対によ」
「戻りたいのね」
「安らかでいられていい人達が一杯して」
「楽園みたいな場所ね」
「心の支えだったのよ」
彼女にとってというのだ。
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