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時空一夢
第三章

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「物凄くいやらしいことされたの」
「あんたが観た日本のアニメみたいに?」
「そう、そんな感じでね」
 まさにというのだ。
「手足に絡みついてきて」
「無数の触手が」
「レオタードを脱がしてきて」
 そうもしてきてというのだ。
「胸に太腿にお尻に」
「絡みついて」
「蠢いてきてね」
「それは凄いわね」
「やっぱり夢だってわかったけれど」
 それでもというのだ。
「考えみれば今彼氏オランダに出張でいないから」
「一人だから」
「そうしたこともしていないし」
「欲求も出たのね」
「アニメ観てね」 
 日本のそれをというのだ。
「どうもね、しかし今度は過去とか未来じゃなくて」
「ファンタジーね」
「そっちの世界に行ったわ」
 そうだったというのだ。
「今度はね」
「夢は本当に何処でも行けるわね」
「時空も世界も超えてね」
「凄いものね」
「ええ、私夢をよく見るけれど」
 同僚に笑って話した。
「悪夢を見ることもあるけれど」
「それでもよね」
「ええ、色々な時代や世界に行けて」
「いいわね」
「起きた世界は世界の半分で」
「夢は後の半分ね」
「若しくはむしろ夢の世界が現実で」
 そうであってというのだ。
「起きている世界はね」
「仮初ね」
「そう言う人もいるし」
「夢は馬鹿に出来ないわね」
「決してね、あんたも見てるでしょ」
「勿論よ、この前昔の中国で仙人になっていたわ」
 同僚は笑って答えた。
「それでそれがね」
「楽しかったのね」
「ええ、今度はどんな夢を見るかわからないけれど」
「楽しみね」
「そうよ、じゃあお互いにね」
「夢を見ましょう」
「寝た時はね」
 こう話した、そしてだった。
 二人は仕事にかかった、ドイツらしく定時まで真面目に仕事をしたがその後は自由だった。それで自分の趣味と食事を満喫してだった。
 ヨハンナは寝た、そしてまた夢を見たのであった。この時の彼女は同棲している彼と会ったが起きて今日帰って来ることを思い出してベッドの中で微笑んだ。


時空一夢   完


                    2024・12・14
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