第二章
[8]前話
ベインは刑事課に戻ってからだ、ハドソンに言った。
「理解出来ないな」
「何が祝福なんでしょうかね」
ハドソンは苦い顔で応えた。
「一体」
「苦しみに満ちた世の中から解放か」
「殺して」
「わからないな」
「そうですね、ああした奴がいるんですね」
「たまにな」
こうハドソンに告げた。
「そうだ」
「世の中には」
「理解不能な殺人鬼が」
「あれでもまだましだ」
ベインはこれ以上はないまでに嫌そうな顔で述べた。
「中にはもっと酷い殺し方をする奴もいる」
「サイコ殺人鬼ですか」
「そうなるとな」
それこそというのだ。
「もっとだ」
「酷い殺し方をしますね」
「そうするからな」
だからだというのだ。
「本当にな」
「もっと酷いですね」
「ああ、あんなのでもな」
狂気に満ちた殺人鬼でもというのだ。
「もっと酷いのがいるんだ」
「殺人鬼にもレベルがあるんですね」
「私もまだ会ったことはないがな」
それでもというのだ。
「そんな奴もいる、歴史でも出てるな」
「切り裂きジャッキですね」
ロンドン市警の者としてだ、ハドソンもこの殺人鬼のことは知っていた。
「言われてみますと」
「あいつはもっと酷いな」
「今も正体がわかっていませんが」
「ああした奴もいるんだ」
地齋にというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「ああ、世の中はな」
まさにというのだ。
「本当に稀でもな」
「理解出来ない殺人鬼がいますね」
「そして理解しようとすることはな」
「ないですね」
「狂った奴のやることだ」
ベインはだからだと話した。
「まともな人間が理解出来るか、私達はそんな奴は逮捕してだ」
「取り調べるだけですね」
「そうだ、警官はな」
「そうするだけですね」
「どちらにして殺人、犯罪は許さない」
警官として言った。
「そうするぞ」
「絶対にですね」
「そうだ、連中を理解しなくてもいい」
「警官は犯罪を許さない」
「そうするんだ、ああした奴もいるってことを頭に入れてな」
「やっていきます」
ハドソンはベインのその言葉に頷いて話した。
「これからも」
「そうするんだ、そしてな」
「市民を守ります」
「そうするぞ、狂人は理解出来なくてもな」
「やることをやっていきますね」
「警官としてな」
こう話した、そしてだった。
二人は殺人鬼を取り調べていった、それが終わっても彼女が裁判にかけられ終身刑となっても結局彼女を理解出来なかった。だがそれでも警官として働いていった。それは事実である。
紅い祝福 完
2025・1・14
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ