第四章
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「そんな馬鹿共は」
「そうだったのね」
「だからな」
それでというのだ。
「そんな馬鹿にはなるな」
「全く、こっちに来たらどうするのよ」
母は海の方を見た、一家が暮らしている場所からは百キロ以上離れているのでとても見えないがそうした。
「その人達はどうするのよ」
「逃げるとか」
吉乃は母にこう返した。
「最悪ロシアにつくとか」
「そういうのは最低って言うのよ」
「売国奴っていうのね」
「そうよ」
まさにという返事だった。
「それこそね」
「そうなのね」
「そんな風になったら」
「終わりよね」
「人としてね」
まさにというのだ。
「その通りよ」
「そうよね」
吉乃も確かにと頷いた。
「若しこちらに攻めてきたら」
「わかるな」
「どうなるかね」
「ウクライナと同じになるわ」
まさにというのだ。
「そうなるわ」
「その通りだ、それがわからないならな」
「本当に馬鹿よ」
両親は吉乃に家の水田を前にして言い切った。
「ロシアはすぐそこよ」
「しかもだ」
父は自分の話を続けた。
「あの国はずっとああなんだ」
「ロシアは」
「日露戦争があっただろ」
「ええ、全力で戦ってね」
「何とか勝ったな」
「そうだったわね、日本は」
「本当に必死に戦ってな」
当時の日本はというのだ。
「かなりの犠牲とお金をかけてな」
「勝った戦争ね」
「ああ、しかしな」
それでもというのだ。
「そんな馬鹿共はな」
「そうしたことも知らないのね」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「本当にな」
「自分達の国の歴史なのに」
「ソ連を好きだった連中も同じだった」
「学校の先生に多かった」
「そうだ、むしろあの戦争を侵略だったとかな」
「ロシアのじゃないわね」
「日本のな」
これを言い出したのはスターリンである、そうしてソ連の侵略を正当化したのだ。スターリンという時点でわかる者はわかることだろう。
「そう言っていたんだ」
「酷いわね」
「そして今もな」
「同じね」
「あの戦争のことがわかっていないんだ」
一切というのだ。
「本当にな」
「そうなのね」
「そしてな」
そしてというのだ。
「偉そうに言ってもな」
「馬鹿なだけね」
「馬鹿丸出しだ」
父ははっきりと言った。
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